第260回:令和時代の運送業経営 管理職編(58)
【管理職編】58
「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も前号に続き「所長・管理職」をテーマに求められる役割、責任等に関し解説してまいります。(その7)
1.労働基準法上の規制
⑴割増賃金支払い
所長等に関し、割増賃金の支給対象外としている運送会社が散見されますが、これは問題です。労働基準法で割増賃金の支給対象外となる管理職は判例等で厳格に考えられています。
考え方としては、会社法で定められる「取締役」以上と理解しておくべきです。
部長職や社員的要素が強い「執行役員」も会社側から指揮命令されている実態がある場合は、割増賃金の支給対象外とする「管理職」とは認められない可能性があると考えておいた方がいいでしょう。
割増賃金支給対象外となる管理職は「出退勤自由」「役員会出席」「採用権限有」「現場職を相当上回る給与水準」といった実態を要します。
なお、管理職と認められる場合であっても「深夜手当」や「年次有給休暇」等の定めは適用されます。
⑵時間外上限規制
2020年4月から時間外上限規制が適用されています。
運転職に対する上限規制は2024年4月以降の36協定に連動し適用がされますが、運転職以外の所長等に関する時間規制はすでに適用が開始されていますので、十分留意する必要があります。
前号でも説明しましたが、運送会社において所長等管理職の業務範囲は大変広く、労働時間も長時間化しています。
運行管理や配車業務を行っている場合も多いため現場の状況に合わせた労働時間となっています。2020年4月からすでに開始している時間外上限規制は罰則付きであり、過重労働等になった場合には会社に責任を問われる可能性が高いため留意が必要です。
運転職とともに所長等の労務管理もしっかりと実施する必要があります。
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