夜間点呼 経営陣に大きな負担、自動点呼に期待
新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザなど、さまざまな病気の流行が懸念されており、ドライバーの体調管理のため、点呼の重要性を再認識する運送事業者が増えているが課題も出てきている。
鋼材をメインに中距離輸送を手がける大阪市の運送事業者ではこれまで、定年退職者を点呼要員として採用し、「午後10時から午前6時まで任せていた」という。
しかし、コロナ禍で物量が大幅に減少したことに加え、2024年問題への対応などからコスト削減が必要となり、「今は経営者である自分が点呼のために毎日、深夜に出勤している」と説明する。
同社長は午前3時に出勤し、退勤は午後6時。在社時間は実に15時間に及ぶ。「社員に時間外労働を要請できないので、ほかに手段がない」とし、月曜から金曜まで長時間労働が続いているという。
食品輸送を展開する和歌山市の運送事業者も同様で、経営者と数人の役員が持ち回りで夜間点呼を実施。担当になると午前3時に出社して同6時まで点呼を行い、一旦、自宅に戻って2時間ほどの仮眠をとり、再び同9時に出社して午後6時まで勤務するスケジュールをこなしているという。
同社では、以前に巡回指導で指摘されたこともあり、対面での点呼を徹底。「経営者と役員は、社員よりも労働時間が長い」と嘆く。
同社では自動点呼機器の導入も検討中で、「適切に点呼ができるのであれば、われわれの負担軽減のためにもぜひ採り入れたい」と期待を寄せる。
夜間点呼の求人 時給1500円の事業者も
求人誌や求人サイトを見ると、大手から中小まで運送事業者の「夜間点呼スタッフ」の募集が掲載されている。
「定年後の方も活躍中!」とシニア層をターゲットにしたアルバイト募集が目立つが、「ドライバーからのジョブチェンジ」を誘った正社員の募集もあった。
募集している運送各社の給与体系は時給制が多く、地方では最低賃金での求人が少なくないが、首都圏では「深夜割増込みで時給1500円」という事業者も。
また、大半の企業が、「資格なしでOK」「運行管理者、運行管理者補助者の資格は入社後に全額会社負担で取得して頂きます」と応募へのハードルを下げている。
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