日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。最近、「模擬監査」が増えてきました。これは私が監査官となり、皆様の会社にお邪魔し、運行管理の見直しをするというものです。

もちろん、私どもの仕事はチェックではなく、その後の改善に向けてのサポートですが、模擬監査の中で気付いたことがあります。

それは違反がある場合、そのほとんどが、「知らなかった」や「勘違いしていた」などと、「違反している意識がない」ことです。長年行っている運行管理が少しずつルールとずれていき、結果的に違反になっている状況です。

このため、管理者の方には正しい知識を習得し、正しい運行管理を行っていただきたいと思っていますが、皆さんは、「手間がかかる」「経費がかかる」「現実的にできない」と感じるかもしれません。
しかし、模擬監査を行い、改善提案をすると、ほとんどのお客様は手間がかかるどころか、逆に手間が省け、しかも著しく違反が減少していくのです。

まず、皆さんの会社で行っている運行管理が法律通りか、二度手間や余計な手間をかけていないかをチェックしてみてください。

ちなみに、国交省の監査の中で一番指摘されているものが「指導監督」です。これは、既存の運転者に対しては、いわゆる法定12項目の研修を正しく行っているか、さらに正しく記録しているかです。また、「運転適性診断をしっかりと行っているか」も、多くの会社が指摘を受けています。

指導監督以外に指摘されるのは、「時間」「点呼」「健康診断」「点検業務」に関わることなどが挙げられますので、しっかりと改善しておくことをお勧めします。

改善は、指摘されやすく、さらに点数配分が高いことから、優先的にやることをお勧めします。当然、すべてを改善する必要はありますが、一気に改善するのは非常に労力がかかり、非現実的です。よって、効率よく改善を進めてください。

しっかりと運行管理を行うことは難しいと懸念される事業者様も多いですが、交通事故がなくなることは事実です。

現に私の顧客企業の中で模擬監査を行い、しっかりとした運行管理を行った結果、交通事故が激減した会社が何社もあります。一度皆さんの会社でも見直してみてはいかがでしょうか。