近年、70歳まで働ける環境を整備している企業が増加している。厚生労働省が今年6月に公表した令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果では、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は5万9377社(25.6%)で、中小企業では26.2%、大企業では17.8%という結果になっている。

令和3年4月の高年齢者雇用安定法改正では、企業に70歳まで働ける機会を制度化する努力義務が設けられた。しかし運送業の場合、体力面の問題などから、できる職種が限られてくるのが実状だ。高齢になっても自社で任せられる仕事はあるか、業務の見直しが必要といえる。

別の調査では、「仕事内容に満足している」と回答している60代は約3割しかいないことも分かっている。「定年前と同じ仕事をしているのに給料が大幅に下がった」や、「これまでのスキルを誰からも期待されていない」という声も多いため、やりがいを感じられる仕事であることも重要だ。

 

 

宮城県名取市の運送事業者社長は「65歳以上になると、年金があるからいつでも仕事を辞められると考え、自分勝手な行動を取るドライバーもいる。社内の雰囲気を壊すような人とは仕事はできない」と話す一方で、「高齢ドライバーの強みは、若い世代にはない経験量の豊富さ。体力は衰えるが、過去の失敗から学んだことを後輩に伝えるのは中高年の世代しかできないこと。ドライバーが定年を過ぎても活躍できる場を整えたい」とコメントしている。