姫路西配送センター事業協組(木南一志理事長、兵庫県たつの市)は9月1日から、プラスチックパレット洗浄サービスの運用を開始した。同組合は約40年前から木製パレットの製作・販売を手掛けてきたが、「働き方改革や輸送の効率化にパレット輸送は不可欠となっている一方、今後はプラスチック製がシェアを広げる可能性が高い」と、事務局を統括する専務理事の助光隆男氏は話す。事業再構築補助金の第2回公募(新分野展開)で計画が採択されており、機械発注など昨秋から着々と準備を進めてきた。

 

軽量で扱いやすいプラパレのニーズが高まっているうえ、昨今の原油高騰によってリユースする考え方が定着。ただ、飲料や食品、医薬品などパレットに厳しい衛生管理が求められる例も多く、汚れのあるパレットを使用することは品質面でデメリットとなる。そのためパレットの所有者であるメーカーなどでは現在、従業員が手作業で汚れを落とす煩わしさや、遠方の洗浄施設までコストをかけて運び込むなど対応に苦慮するケースも多いという。

 

運用開始を控えた8月22日、同組合の敷地内にある既存施設(250坪)を活用した「パレット洗浄・南山ベース」でデモンストレーションが実施され、プラパレを使っているメーカー13社から計22人が参加。その場でも「洗浄を頼む場合は(ここまで)持ってこないとダメか」「いまは従業員らが手洗いしている」といった現実的な悩みやコスト面を尋ねる声も聞かれたが、「運送会社でつくる組合であり、車両の手配から引き取り・納品、保管など一貫して対応できる。ただ、用途やサイズなど依頼主が求める洗浄基準に合わせる必要があるため、個別に丁寧な打ち合わせが必要」と同専務。

 

南山ベースに設置した洗浄機はパレットの投入から段ばらし、洗浄・すすぎ、遠心脱水、熱風乾燥、段積み、取り出しまで全自動。12種類のサイズに対応できる設計で、最大で1時間に100枚のパレット洗浄が可能。基本は水のみの洗浄だが、希望があれば洗浄剤の使用にも応じるという。また、洗う温度をセ氏40~80度、乾燥も同80~100度と幅を設けているほか「お急ぎ洗浄」「除菌洗浄」「シールはがし」などのオプションもそろえる。

 

1981年設立の同組合は17社で構成され、ETCコーポレートカードと倉庫、パレット販売(木製)を柱に事業を手掛けてきたが、近年は月産2000枚を製作するパレット事業のウエートが最大になっている。プラパレの洗浄部門はパレット事業部の下に置き、従来の木製パレ事業を継続しつつ、今後の主流と見据えるプラパレの洗浄サービスを加えることでシナジー効果も見込んでいる。「まだ動きだしたばかり。徐々に扱い量を増やし、できるだけ早い段階で最大の処理能力を引き出せるようにしたい」(同専務)と話している。