道の駅開業 「大型81台収容」も50台余が共用スペース
トラックドライバーの新たな休憩場所となるか――
広島県中部を走る国道2号沿道に道の駅「西条のん太の酒蔵」がオープンして約1か月。中四国地方で最大規模で大型車が81台収容できるという触れ込みで開業したが、実際に現地に行くと大型駐車マスに次々と入ってくる普通車。大型車の専用スペースは27台分(トレーラ専用マスは2台分)しかなく残りの50台余は乗用車との〝共用スペース〟になっている。「大型車は81台停められる」と期待して訪れたドライバーを裏切ることにはならないのだろうか。
同道の駅は、西日本の大動脈の一つ国道2号の西条バイパス沿いに7月15日に開業。県内の2号沿いでは約40キロ東にある「三原神明の里」(三原市)に次いで2か所目。山陽道の志和ICから県道83号「志和インター線」を通って約6キロ、西条ICからは東広島市街地を経由して約7.5キロに位置する。
国道2号は現在、安芸郡海田町から東広島市に渡り「東広島・安芸バイパス」(今年度中に完成予定)の建設が進んでおり、西条バイパスと接続すると広島市街地からのアクセスがスムーズになる。また、志和IC周辺は物流施設が多く、朝夕には渋滞が多発し、最寄りの奥屋PAに入れないケースもあり、トラックドライバーの新たな休憩場所として期待が高まる。
施設は独立したトイレ棟や24時間利用できるシャワー室(男女、身障者用各1室)を設置。売店の一角にコンビニ(午前9時から午後8時30分)があるほか、シャワー室の前にカップ麺や入浴グッズ、広島名物のお好み焼きや白米、弁当が買える自販機を置く。シャワー室内には電子レンジとポットがあり、温かな食事が摂れるよう配慮されている。
敷地は、乗用車と大型車の入り口は別で、動線上トラックは乗用車エリアには入れない。しかし、乗用車は大型車との〝共用スペース〟に駐車することが可能だ。設置者の東広島市ブランド推進課に聞くと「81台というのは大型車が駐車可能なマスの数で専用スペースではない。大型マスに普通車も停められる」。指定管理会社の警備員も「乗用車エリアがいっぱいになれば〝共用スペース〟に誘導する」と話す。
同じ2号沿いで大型車の駐車スペースを41台分確保し、西条に次ぐ大きさの道の駅「ソレーネ周南」(山口県周南市)の管理運営を行う周南ツーリズム協議会は「駐車場の運用は特に取り決めはない」。また、「三原神明の里」を運営する道の駅みはらは「トラックの利用が多いので、原則としてエリアを分離している」と駐車スペースの考え方は運営者でさまざまだ。道の駅の設置登録を管轄する国交省道路局によると「十分な容量を持った駐車場があることが登録要件の一つ。大型車と小型(乗用)車のスペースを分けるルールはない」という。
改善基準告示の見直しが進められる中で、今以上に休息時間が重視されるようになれば、おのずとトラックを停められる場所の確保が不可欠になる。今回、取材したのは開業直後で夏休みに入るタイミングも重なり、家族連れでごった返して正午前後は〝共用スペース〟はほとんど普通車で埋め尽くされている状況だった。「大型車の駐車スペースが豊富にあるのに、結局停められない」という事態が起こらないことを祈り、今後の運用を注視したい。
道の駅利用者の声
◆「荷積みまでの時間の調整と食事を兼ねて来た。シャワーは本当にありがたい」(東広島市内の運送会社のドライバー)
◆「山陽道の奥屋PAがいっぱいで停められなかった。開業したと聞いて寄ったが人が多くて食事を断念した。せっかく入り口が別なのに、大型車専用マスに停めている乗用車もあり残念。〝共用スペース〟はせめて大型用のマスに区切りの線でも入っていれば、普通車が停めることが減るのでは」(広島県東部の運送会社幹部)
◆「スポットの仕事でたまたま広島に来ていて、休める場所を探したらここがあった。トラックが多く立ち寄るのは夕方だが、その時間に普通車が停まっていたら困る」(横浜ナンバーの大型車のドライバー)
◆「西条バイパスは毎日通るので休憩に便利。高速SAのシャワーは待ち時間があるし、既存のドライブインなどは、古く清潔感がないところもあるので、きれいな施設は大歓迎」(岡山ナンバーの大型車のドライバー)
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