エース(林博己会長、北海道石狩市)は1月15日から3月12日のおよそ2か月間、道内に勤務するすべてのドライバーやリフトマンなどに対して「最前線社員研修」を行った。初めての試みで、日曜日ごとに数十人の従業員を集め、合計20コマ、総勢570人あまりに研修を実施した。

 

経営コンサルティング大手のタナベコンサルティングが運営を担当し、北海道支社の南保圭祐チーフコンタルタントは「これほど大規模な研修は全業種を通じて初めて」と話した。

 

パート従業員と役職者を除く「最前線で働く社員」全員が4時間にわたって研修を受け、顧客満足度や業務品質のさらなる向上に向け、座学やグループワークを通じて、「経営方針書」の浸透を図った。

 

同社では「経営方針書」を毎年度策定し、ポケットサイズの小冊子として全従業員に配布。同社の大きな目標や方針から、従業員が「どのような場合にどのように考え・行動すべきか」といった具体的な指針まで数十ページにわたって記されており、これまで全従業員に向けた「説明会」を通じてベクトルを合わせてきた。
しかし、コロナ禍により説明会が長く開けなかったことから、経営方針書の浸透の必要性を認識し、研修会の開催を決めた。

 

12日には、道南エース札幌南営業所(北広島市)で最終の研修会を開き、約50人が参加。出社から積み込み、配送、帰社までの「とあるエースのドライバーの1日」について、どの行動が「経営方針書に照らして問題があるか、どのように改善すべきか」をグループで討議し、発表を行った。

 

5ページにわたる「ドライバーの1日」には、業務のみならず、マナーや身だしなみなど16か所の問題点を盛り込み、各自が経営方針書を参照して活発に発言した。

 

林会長は「昭和59年に創業し、その年の9月から社員への研修を始め、これまで徹底的に教育を続けてきた。結果、車両7台・7人からスタートしたが、770台・1650人の規模に成長した。最前線で働く社員がいい仕事をするから次の仕事につながる。社員教育をやり続ける必要性を改めて感じている。エースイズムをしっかり学び、明日からの仕事につなげてほしい」と述べた。

 

中野政嗣社長は「経営方針の説明会が3年間できていないが、品質を武器に勝ち残っていかねばならない。エースの従業員はエッセンシャルワーカー。しっかり勉強し、実践してほしい」と促した。

 

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