平成16年以降、交通事故件数が減少している(警察庁調べ)中で、事故が後を絶たない交差点が存在する。

日本損害保険協会(舩曵真一郎会長)はこのほど、最新の全国交通事故多発交差点マップを公表し、2020年(令和2年)の事故発生件数(交差点)全国ワースト10も公表した。

 

公表された全国事故件数ランキングワーストトップ10では、1位=22件で法円坂交差点(大阪府)、針摺交差点(福岡県)。3位=18件で梅新東交差点(大阪府)。4位=16件で讃良川交差点(同)、西本町交差点(同)。6位=15件で谷町9丁目交差点(同)、樋之口町交差点(同)、六本松交差点(福岡県)。9位=14件で七宮交差点(兵庫県)。10位=13件で大原交差点(東京都)、上天神西交差点(香川県)となった。

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大阪府の交差点が全国ワースト10位に6か所もランクインしていることもあり、JAF大阪支部(白土貴久支部長、大阪府茨木市)は、府内の事故多発交差点を現地調査し、事故防止を呼びかけている。

 

令和2年度ワーストの大阪府交差点6か所で、102件の事故が発生。このうち、追突事故(40件)が特に多く発生している。次いで多かったのが、右折直進事故(17件)となっている。

 

交差点の見通しが悪いものもあれば、特段悪い訳ではない交差点、大きな交差点で起きているものもある。しかし、ワースト1位から3位までに共通する点は、道路付近に橋脚が設置されており、視距阻害要因になっていると予測される。

事故原因について、大阪府内の交差点を現地調査したJAF(藤井一裕会長、東京都港区)は「比較的、交通量の多い交差点では運転者が状況の情報処理をする点が多いので、事故が起こりやすいのでは」と推測。こういった事故予防策としては、「基本的な安全な車間距離の確保や左右確認に加え、事前に走行ルートの確認を行うか、慣れない道を走行するより、遠回りになっても慣れた道を走行することで危険を回避することができる」と説明した。JAFでは、同社ホームページで「危険予測トレーニング」といった安全啓発動画もアップしており、「ぜひ、安全運転において活用してほしい」とした。

 

本件について大阪府警察本部の松島徹交通部調査官は、「事故の多い交差点については大阪市などと連携し、路面表示を変えるなどの事故要因になり得る部分の改善を行っている」と説明。「交通事故で亡くなられている方は事故件数とともに年間で減少傾向にはあるが、ゼロではない」とし、「事故調査を多角化させ、安全な交通環境を作り、更なる事故防止に努めていく」と示した。

 

一番多く発生した追突事故について同氏は、「前方の安全確認や脇見などによる前車に対する動静不注視によるもの」とし、「運転者は信号待ちからの発進時や進行時において、前方の安全確認を徹底するとともに、安全な車間距離を保持することを当たり前だという意識で心がけてほしい」と呼びかけた。

 

ワースト10に入った交差点での貨物関係事故の件数割合は府警調査で約27%となり、主に巻き込み・右左折時の目測誤りによる接触事故だったという。

 

普通乗用車よりも車体重量のあるトラックは急には止まれないこともあり、どの交差点でも予測・確認といった「当たり前」を常に持つことで事故を回避していかねばならないといえる。

◎関連リンク→ 一般社団法人日本損害保険協会