セキトランスシステム(関則雄社長、静岡県駿東郡)で商品開発を手がけるトランシス事業部。床置き型杖立て「つえタッチ」やタッチレストイレットペーパーホルダー「サワラナイデー」をリリースし、同社の60周年記念事業においては地域市町村のワクチン接種会場へ向けて両商品の寄贈を行って好評を博した。

事業部を構成する5人の平均年齢は70歳以上で、取材に応じた関社長もその一員。なぜ、人生のベテランばかりを揃えたのかとの問いに対しては、「昨今DXやAIが話題だがコンピュータはトイレに行かないし、眼鏡もかけないし、杖もつかない。過去のデータをもとに最適解を見つけ出すことには長けているが人間の困りごとには思いが及ばないので、人生経験豊富な我々の方が力を出せるのはないかというのが基本的な考え」と述べ、「アダルト・インテリジェンス(大人の知恵)」「アナログ・インスピレーション」と表現する二つの「AI」に言及して笑顔を見せる。

かつては他企業の社長や役員などを歴任してきた事業部所属のメンバーが集まるのは現在週に二回ほどだが、定年制はなく「気力や体力が続く限りは、ずっと現役」と言える環境。関社長はここまでの動きを振り返って「やはり社会のニーズは人間が発想していかなければならないことがよくわかった。コンピュータのAI(人工知能)よりも『うちのAIの方がすごいぞ』という気概でやっている。人間は失敗をすることがあるが、そこから学ぶことができる」と力を込める。

そして現在、同事業部では主力商品であるつえタッチとサワラナイデーを「MAMAgot」やアマゾン・楽天といった自社・外部通販サイトで展開しつつ、次のステップとして「多焦点メガネ」の開発へと着手。レンズ部分が上下に稼働することで任意の焦点を選択できる多焦点メガネは世界中で特許を取得しており、次世代型端末である「スマートグラス」への応用を見据えて同事業部自慢の「二つのAI」をフル稼働中だ。

◎関連リンク→ セキトランスシステム株式会社