今年で創立30周年を迎えたシーエックスカーゴ(埼玉県桶川市)は、日本生協連の物流子会社として1991年に設立し、現在、全国18拠点、約4700人の社員が在籍している。

同社社長に今年5月に就任した佐藤豊氏は、1998年、35歳の時にシーエックスカーゴに入社した。それまで会員生協で店舗運営やバイヤーという仕事は経験していたが、物流に携わったのははじめてだった。

入社後はシーエックスカーゴ初の複合型施設である北海道流通センターの開設に携わり、同社長自らもピッキングや商品を運ぶといった物流現場の仕事を経験したという。

その時々に直面する課題や仕事に向き合ってきたという同社長は2009年から2010年にかけて千葉の印西・野田や広島の尾道、佐賀の鳥栖の複合型物流センターの連続立ち上げや、2011年に発生した東日本大震災への対応などめまぐるしい時期だったと振り返る。それらへの対応では現地に赴き、業務に没頭した。震災時には自社センターも複数が被災し、同社の仙台流通センターが他地域からの支援物資の物流拠点となったという。

同社長はセンター立ち上げや災害対応に追われたが、その時々に「やらなくてはならない!」と真摯に向き合ってこられたのは、「一緒に頑張ってくれる社員のおかげ」だと話す。全国に拠点がある同社では、近年多発する地震や台風、降雪・豪雨という災害対策に追われ、その都度社員一丸となって対応にあたっているという。仕事だからという以上に、「待っている人の笑顔のために安全・安心を届け続ける」というスローガンが社員に行きわたっている証だと同社長は感じている。

「災害が発生した時も自分たちも被災者でありながら仕事に来てくれる。みんなが協力してくれる姿を見て、自分もやらなくてはいけないと思う」という同社長。コロナ禍では社員は「エッセンシャルワーカー」と呼ばれて重要性が増しているが、同社でも、「社員の心には『人の役に立つ』ということが無意識にある」と同社長は断言する。

同社はまた、社内の文化やルールを大切にしていることを全社員に伝えるために社内報「Smile」など広報活動にも力を入れている。「Smile」は2020年度には経団連推薦社内報でも奨励賞を受賞するなど、同社の現場の魅力を内外に伝える手段となっている。

「これからの10年は100年に一度の大変革期ともいわれ、生活環境や働き方も変わっていく」とし、「今後10年を基礎づくり、課題実施、ビジョン実現という3つの期に大きく分け、つくる・たかめる・あつまる・つながるという4つのテーマで目標を設定している」という同社長。「自社が掲げる『2030年ビジョン』に向けての基盤づくりを行いたい」と抱負を語る。

当面、人事制度の変更や物流DXへの対応、通販物流受託によるBtoCへの参入という3つの重点課題を中心に着手していくという。人事制度では「人財が一番大切である」という考えから、30年のノウハウを結集させつつ社員一人ひとりが働きやすい職場を目指す。また、生協事業を主軸とする同社では現在、通販事業受託のため本社の横に桶川第2流通センターを今年6月に全面稼働し、既に事業を開始している。

同社長は、「大型トラックやフォークリフトの運転など、自分にはできない能力のある人が社員には多くいる」とし、「社員が気持ちよく働けるためにも、労働環境を含め社内体制の整備に取り組んでいきたい」と話している。

 

【会社概要】
設立=1991年3月21
▽資本金=1億円▽所在地=埼玉県桶川市赤堀1丁目5番地▽年商=424億円(第26期)▽保有台数=284台▽従業員=4696人(パート・アルバイト含む)

 

◎関連リンク→ 株式会社シーエックスカーゴ