出版流通業界の主要企業である日販グループホールディングスの苦境が鮮明になってきました。2025年前半期（4月～9月）の決算で、営業損失が1億6000万円にまで拡大しています。前年同時期と比べると赤字額が約67倍に膨らんだ計算です。あなたがよく目にする書店の棚に並ぶ本や雑誌を届ける裏側で、こうした厳しい状況が続いているのです。

 

業績不振の主因は書籍を運搬する際のコスト高騰です。出版物を各書店へ届けるための輸送費が急増し、本来の事業である流通部門では2億6000万円もの赤字を計上。前期の2.6倍に悪化しました。皮肉なことに最終利益は3億3600万円と黒字を維持できましたが、これは閉鎖した物流施設の売却益21億円という臨時収入のおかげです。

 

会社はどう立て直しを図るのでしょうか。すでに経営効率化の一環として、コンビニ向け雑誌配送から完全撤退し、競合他社のトーハンにこの業務を譲渡しました。さらに東京・練馬区の物流拠点も閉鎖。今後はこうした合理化による経費削減効果が現れると見込まれますが、通期でも主力事業の赤字は避けられない見通しです。

 

同社の財務責任者は「創業以来の基幹事業である取次の黒字化が最優先課題」と強調しています。いつも手に取る書籍や雑誌が私たちの元に届く流通システムは、今、大きな変革期を迎えているのかもしれません。

 

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