サッポログループ物流 服部祐樹社長 「持続可能な体制の構築へ」
今年3月末にサッポログループ物流の社長に就任した服部祐樹氏。サッポログループの物流基盤を支える存在として、持続可能な体制づくりに注力する姿勢を明確にしている。服部社長は、1997年にサッポロビールへ入社。原料資材部(現・購買部)への配属を皮切りに、需給、広報、経営戦略と、主に本社機能でキャリアを積んできた。「物流の実務経験はないが、大阪工場勤務の際は現場をリアルに見て、現場の方々と直接コミュニケーションを取っていた」と振り返る。

サッポロビールでは経営戦略部、サッポロホールディングスでは戦略企画部・経営企画部に所属し、グループの中期計画の策定やM&Aなどにも携わった。「広報を経て経営に携わる部門に移り、経営全体を見渡すようになった経験が、今の物流事業を見る視点につながっている」と語る。
当たり前支える 仕事への再認識
サッポログループ物流の代表となり、物流の現場を間近に見る立場となった服部社長は、改めてその重要性を痛感したという。
「当時は、物流現場の方々に無理難題なお願いをしていたこともあったと思う。実際に現場でモノを運び、検品し、丁寧に扱ってくださる方々の努力の上に成り立っていることを、改めて実感した」。さらに、「大阪工場時代にお世話になった方々が全国に赴任されていて、今回社長に就任するにあたり非常に心強く感じた」と語る。
「私には物流の実務経験があるわけではない。だからこそ、まずは社員の皆さんの考えをしっかり聞き、理解することを第一にした」と服部社長。そのうえで、「それぞれが持つ知識や経験を引き出し、会社全体の成果として結実させることが私の責任。そのための仕組みづくりが役割だと思っている」と語る。
上下関係ではなく パートナーとして
約300社の協力会社と取引のある同社。その関係性については、「我々の最大の使命は、商品を変わらない形で確実に届けること。そのために、安全と品質を担保していただくことが第一」と述べる。
さらに、「上下関係ではなく、パートナーとして持続的に仕事をしていく関係性を築きたい」と強調。また、協力会社からの提案にも期待を寄せ、「現場を知る方々の視点には、我々にない発想がある。お互いに高め合える関係が理想」と語った。
グループ支える 持続可能な物流
「まずは物流関連2法への対応と、将来的には持続可能な物流体制構築が一番の課題と捉えている」と服部社長。「労働時間の上限規制によって運べる距離が短くなるなか、拠点の再配置を進めている。従来は拠点集約の動きだったが、今後は150km圏内で日帰り運行できる体制づくりが大前提」と説明する。
そのほか、モーダルシフトや中継輸送の活用、伝票の電子化、ASN(事前出荷情報)などといった効率化も進めている。「人を介する業務を減らし、持続可能なオペレーションを構築していく」。
外販拡大と人材育成を
「グループ物流としてサッポロビールなどの飲料事業の輸送を担う一方で、外販にも注力する」という。

「全体的な貨物の減少やドライバー不足という現状で、自分たちの内販だけで維持するのは難しく、最近では外販に力を入れている。バランスよく両立させて、持続可能な物流体制を構築していきたい」と述べ、「ビールや飲料水で培った物流技術・知見を活かし、外販を拡大していく。それをやれるのは結局、人。人材育成にかかっており、従業員が働きやすい環境を、どれだけ我々が作っていけるかに尽きる」としている。
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最後に服部社長は、物流を支える現場の仲間への感謝を忘れない。「日々の多大なご協力にただ感謝しかない。当たり前を当たり前と思わず、より良い環境を整えながら、一緒に次の時代の物流をつくっていきたい」。
◎関連リンク→ サッポログループ物流株式会社
