ミナミホールディングス 独自の特定技能外国人育成モデル、安全運転ができる人材採用へ
小林社長、カンボジア人のホール・ヴィリャック氏とスン・キゴウン氏、田中社長、江上社長-700x525-2.jpg)
国内の物流インフラを守っていくためには外国人に頼らざるを得ない状況であることは否定できない。しかし、外国人を頭数だけそろえれば良いということにはならない。言葉や文化の違いから日本人以上に交通事故の恐れがある外国人を乗務員として受け入れるのであれば、日本の交通ルールやマナーを守れる人材でなければならない。外国人乗務員の育成から就労まで一気通貫で行う企業グループの「特定技能外国人育成モデル」について取材した。
自動車教習所を核とするミナミホールディングス(江上喜朗社長、福岡県大野城市)は、自動車運送業分野における特定技能外国人の受け入れが開始される前から、カンボジアでの人材育成をはじめ、雇用、就労に至るまでを一貫して担う独自スキームの構築を行ってきた。
江上社長は「外国人乗務員の育成は急務だが、単なる労働力の確保ではなく、質の高い即戦力として、海外人材を日本の物流に迎え入れることを目指している」とし、「現地教育から、日本での資格取得、グループ企業での安定雇用、教育内容のフィードバックという一気通貫したスキームをグループで構築してきた」と話す。
2017年にカンボジアで自動車学校を設立した同グループの「特定技能外国人育成モデル」スキームは、ミナミカンボジアという現地法人で運転技術と日本語の教育を行った後、これらを習得した人材を送出機関のミナミカンボジアインターナショナルサービスが日本へ送り出す。
この人材を登録支援機関の外国人ドライバー支援機構(同市)が採用・就労支援を行う。国内での免許取得や運転教育は、同グループの核となる自動車教習所の南福岡自動車学校(同)、宮古自動車学校(沖縄県宮古島市)、海田自動車学校(広島県安芸郡海田町)、AI教習所岡山校(岡山市北区)のほか、教習所サポート(大野城市)がコンテンツを提供している全国の教習所70校で行う。
さらに、同グループ団体の安全運転推進協会で職業ドライバー向けの教育を行いながら、昨年7月にM&Aした運送会社のアップライン(田中一成社長、熊本県宇城市)で雇用をスタートさせることができ、基本的にはすべてミナミホールディングスで行うことができる。
同グループでは、今後も継続してアップラインに外国人乗務員を受け入れ、外国人乗務員を必要とするほかの運送会社にも人材の提供を行っていくとしている。
外国人を採用する際の判断基準について、外国人ドライバー支援機構の小林良介社長は「日本語力や運転技術は成長させることができるが、安全運転をすることのできる人間性や順法精神を後から成長させることは非常に難しい。それゆえにこうした人材を採用基準にすべきだと考える」という。
また、外国人の採用にかかるコストについては「当グループでは、人材紹介料は40万〜80万円。現地教育費用が10万〜30万円。免許取得費用で普通車が20万〜50万円、大型が40万〜60万円。月額支援費用が2万〜5万円。総計で採用時に120~200万円くらい」としている。
7月31日に入国した海外育成モデルの第1期生であるカンボジア人のスン・キゴウン氏とホール・ヴィリャック氏の2人は、南福岡自動車学校で外国免許の切り替えと大型免許を取得した後、アップラインで研修を行い、乗務員としてデビューすることになる。
アップラインの田中社長は「外国人乗務員を初めて採用するので不安はあるが、これから私生活を含めてどのようなサポートができるか。良い関係づくりをして助け合いながら彼らには活躍してもらいたい」と話している。
今後の展望について、小林社長は「最終的にはカンボジアから年間約500人の乗務員を日本に送り込みたい。また、インドネシアやネパールでも同様の展開を行っていきたい」としている。
◎関連リンク→ ミナミホールディングスグループ株式会社