車載器専門商社の東海クラリオン(安部源太郎社長、名古屋市中区)は、自転車利用者840人を対象に「左折事故・巻き込み事故に関する意識調査」を実施した。調査では、自転車走行中に「大型車の左折による巻き込み事故の危険を感じたことがある」と答えた人が44.3%に上り、そのうち約8割が「自分自身の体験」と答えた。

全ト協が公表した「令和6年の交通事故統計分析結果(交差点における死亡・重傷事故編)」によれば、事業用トラックが第1当事者となる交差点事故のうち、左折時の事故の約9割が自転車との接触によるものとされている。

こうした背景を受け、同社では大型車両による左折巻き込み事故の防止に向けた取り組みの一環として調査を実施。自転車利用者の意識や、大型車の死角・内輪差といった構造的リスクに対する理解度を探った。

調査では、大型車の左折時に「運転手が目視と勘で距離を測っていることを知っていたか」という質問に対し、約6割が「知らなかった」と回答。

事故防止には、ハードとソフト両面での対策が求められる。ハード面では昨年から新車への側方衝突警報装置の装着が義務化されたが、トラックの平均使用年数は約10年とされる現状では、既存車両への後付け装置の導入も急がれる。同社はAIで人物を検知する左折巻き込み防止装置を開発・販売し、その普及を後押し。さらに、徳島県の「巻き込み事故対策協議会」に加盟。協議会では警察との連携による啓発活動を行っており、今後は小学生向けの交通安全講習会の開催も検討している。

調査結果について解説した取締役の仲田昌弘氏は、「目視での確認に加え、補助装置の併用で安心感は高まる」としつつ、「本質的な事故防止には、お互いの認識のズレを埋めることが重要」と強調。「後方から自転車が来ているかもしれない」「トラックは左折するかもしれない」――そうした「かもしれない運転」の積み重ねこそが、重大事故の芽を摘む鍵になると呼びかけている。

◎関連リンク→ 東海クラリオン株式会社