T2 酒類・飲料4社とレベル2自動運転幹線輸送を実証

T2(森本成城社長、東京都千代田区)は、酒類・飲料の物流子会社であるアサヒロジ(児玉徹夫社長、同墨田区)、キリングループロジスティクス(小林信弥社長、同中野区)、サッポログループ物流(服部祐樹社長、同渋谷区)、サントリーロジスティクス(髙橋範州社長、大阪市北区)の4社とともに6月9日から、T2が開発した自動運転トラックを用いて関東から関西までの高速道路の往復路で4社の製品をそれぞれ幹線輸送する実証を開始。輸送の有効性と具体的なオペレーションを検証していく。
T2の森本社長は、「2030年には30%以上の荷物が運べなくなる。その社会課題を解決すべく、自動運転技術の活用により世界最高水準である日本の物流を共に支えることをビジョンに掲げている」とし、「自動運転などの新しい技術によって何かを壊すのではなく、『物流を支えている関係者の方の仲間に入れてください』という思いで取り組んでいる」と話す。
T2では、7月からレベル2(部分自動化)自動運転トラックを用いた輸送事業を開始し、27年にはレベル4(高度自動化)に移行、輸送エリアを順次拡大していく見通し。
6月上旬には、レベル2で国内最長となる神奈川県綾瀬市から神戸市東灘区までの約500kmの高速道路走行に成功している。
レベル4自動運転トラック(無人)の場合、ドライバー1人あたり1日1運行(片道)が限界だった現状の輸送能力を、将来的には2倍(往復)まで高めることができると見込む。
酒類・飲料業界は、特に需要が高まる季節はドライバーの確保が困難になる事態も予想される。今回の実証では、T2が開発したレベル2自動運転トラック(10トン車)を用いて4社の製品を幹線輸送する。
6~11月の期間中、計16回(8往復)を予定し、関東〜関西間の高速道路上の一部区間で、4社製品の容器・重量を変えて行う。
有人と無人の切り替え拠点は高速道路出入り口付近に設け、切り替え拠点と集約拠点間は有人輸送となる。なおレベル2では、ドライバー数は減ることはない。
森本社長は、「レベル2ではハンドルに手を添えて、何かあった時に対応できる状態」と解説。「この2年間で実証データを世の中に開示し、社会の重要性を高めてスムーズにレベル4へとつなげていく」とした。
業界4社で取り組む今回の意義については、「業界で連携することで改善や工夫の幅が一気に広がる。運行数が多いほどさまざまなデータが取れるので、非常に有意義な機会」と述べた。
また、サントリーロジスティクスの髙橋社長は、「各社の課題は相関関係が強く、商慣習そのものを再構築していく必要がある」とし、「この実証実験のデータ集積に関して、我々のみならずT2さんでも有用にお取り扱いいただきたい」と期待を込める。
キリングループロジスティクスの小林社長は、「急ブレーキなどで起きる商品へのダメージを確認したい」とし、「走行中のカットインなど特殊なケースに関して、走行中の液体の揺れによる重心の変化への対応、安全性などを精査していく」と意気込みを語った。
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