経産省では、改正物流効率化法(改正物効法)のセミナーを荷主企業対象に行い、同法の周知を進めている。前年度の取扱貨物重量9万トン以上の企業は特定荷主として物流統括責任者(CLO)の設置が義務付けられ、さらに中長期的な計画の作成や定期報告が求められる企業もある。そこで、経産省商務・サービスグループ 消費・流通政策課長、物流企画室の平林孝之室長に、荷主企業の関心度やCLOの位置付けについて話を聞いた。

同省では、これまでは改正物効法の全体像を説明することが多かったが、現在は、実務に近いガイドラインが出たことから、具体的な説明を行っている。加工食品や日用雑貨、工場製品など多岐に及ぶ荷主企業に行う説明会などで、企業担当者と接している同室長は、「大手企業は、やはり関心度が高い」と話す。

また、「さまざまな企業形態が存在するなかで、CLOを設置すればすべての物流課題が解決するということではない」とし、「例えばサプライチェーンやロジスティクス戦略を考えた時、生産、調達、販売やマーケティングといったそれぞれの戦略の柱の1つに、物流という柱を立てるということ」と、CLO選任義務化の意味を説明。

さらに選任についても「サプライチェーン全体を見ることができる人が望ましいのではないか。誰を配置するか、社内のほかの部署とどんな関係を築いていくか、組織構造の変化も関係してくる」と述べ、経産省として、今後は成功事例の情報共有もしていく計画だ。説明会を通して「荷主企業の意識が変わってきていると感じる」とし、「一層、コンプライアンスを守り、白トラを使用しないなど荷主企業に説明していく」という。

人口減少やドライバーの高齢化が進み、輸送供給力が不安視される一方で、EC市場の成長の勢いが弱まる様子は見られず、その需給ギャップにどう対応していくのかが、今後の企業の成長にかかっていくと予想している同室長は、「2024年は運べたが、今年に突然運べなくなるということもあり得る。ロジスティクスをしっかりと自社の戦略テーマに掲げていく必要性を話していく」と語った。

同室長は「これからは悪しき商習慣が崩れていき、変わっていく状況のなかで、荷主は選ばれる荷主にならないといけない。物流事業者も提案型のサービスを提供できるようになり、お互いに良い関係が築けていくのではないか」と述べた。

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