トラボックス皆川拓也社長 「継続的にマッチングの適正化進める」

第3回トラック運送業における多重下請け構造検討会で、物流マッチングサービスに対し、「一定以上の再委託を禁止し、これを適切に管理」「不当に低い運賃での契約を防止するためのルール」「利用者のスクリーニングや評価、与信管理」「ルールを逸脱する行為等を行った利用者に対して指導」などが必要との提言が行われた。運送事業者からも「異なる情報掲示板に、同じ案件を横流ししただけとしか思えない情報が記載されている」との指摘を多く聞くが、現状、マッチングサービスの利用者に対して同様の行為を法的に禁ずる強制力はない。
多くのプラットフォームで「誓約書」「利用規約」などを用いて利用者の良心を頼りとする環境となっている。こういった状況について、トラボックス(東京都渋谷区)の皆川拓也社長から話を聞いた。
同社では、マッチングの適正化に向けた検討を継続的に進めている。皆川社長は「案件の横流しや不適切な取引を防ぐため、利用者が掲載企業の過去の取引状況を確認できる仕組みを整えてきた。その結果、成約数も増加傾向にある」と掲載される情報の質向上に向けた、自主的な取り組みについて説明する。
同社では、登録企業の利用年数や成約実績などの情報をユーザーが確認可能とし「どの企業が、どれだけの確率で、成約に至るだけの情報を提供しているか」の観点からユーザーが考察可能となっている。運賃の振り込み遅れなどを繰り返した事業者との契約を解除するケースもあり、こうした措置が「プラットフォームの健全化に一定の効果をもたらしている」とする。
「与信」通じて物流企業に新しい価値を
トラボックスは今年2月に「トラボックス請求受領サービス」を「Finto」へとブランド刷新した。このサービスは、審査不要で請求書の後払いが可能となり、物流企業の資金繰りを支援する目的で提供されてきたが、今後はユーザー企業の信用力向上に寄与する可能性があるという。
例えば請求業務での入金遅延や入金額の誤りなどが発生した場合、企業の信用力低下を招く。また、設立間もない企業や支払いサイトが長い企業は、信用力不足から取引の機会を得にくい状況にある。しかし、Fintoのような決済サービスを利用することで、支払い遅延の回避や、支払いサイトの短縮が可能となる。
皆川社長は「物流業界には、まだまだ優れた企業が多く存在するが、荷主企業に見つけてもらえていないケースも多い。いずれは、Fintoの利用により物流企業の信用力が向上し、適正な取引を促す仕組みの一助となれば」と話す。
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