成田国際空港(NAA)は3月3日、同空港貨物管理ビルで第6回「2024年問題対策協議会」を開催。

昨年11月に稼働を開始したトラックドックマネジメントシステム(TDMS)の12月以降の運用実績、運用開始以降の改修実績が議題に挙がった。

NAAは昨年11月に起きた長時間待機と混乱の要因が、上屋作業員の習熟度にあったと指摘。当初よりは習熟度が上がり、1.5時間超の待機が減ってきたという。

ただ、年末と年明けは貨物量の増加により一時的に待機時間が増えたこと、拡大するEコマースの影響もあり、小さくて大量な貨物の積込作業に労力と時間を要している現状が説明された。

同社貨物営業部の奈良原禎和次長によれば、本来はスキッドによる積込みを行いたいが、積載効率を上げたい一部の事業者がそれを拒み、手摘みで満載にしていく状況があるという。「ルール違反ともいえずグレーだが、遅れの一因になってしまっている」と明かす。

また、TDMS導入当初の11月は狙いだった曜日の平準化が見え始め、混雑のピークの波が緩やかになっていたが、12、1月に入ると従来のピークの波に戻りつつあるようで、月曜に集中していたピークは火曜に移行したという。

同次長は、「自社倉庫がある事業者は月火のピークを避けるため、日曜に引取って月曜に配送を行う事業者も増えている」と指摘、現在は予約枠を拡大、上屋人員とフォークリフトを増やして対応にあたっているが、「上屋側の方もマンパワーには限界があり、引取り側が希望するだけの予約枠を設けるのが厳しい状況」と説明する。

 

一方、別の仕事を終えてくる事業者は、希望の引取り時間で予約が取れないため空港での長時間待機が発生しており、「待機1時間以内」を目指すNAAは今後、スキッド渡しの推進や、該当貨物を探す行為に時間かかっていたことを踏まえて自動高層ラックでの貨物管理でスピードアップを図るとしている。

荷台で仕分けを始めるドライバーがいる現状から、ルール違反は今後厳格に取り締まりを行っていく。

千葉ト協の池田和彦会長は「時間が見える化したのは確か」だと評価したうえで、「成田空港は旅客と貨物の両輪で成り立っており、経済を支える大きな空港でもある」とし、「我々も極力協力し、経済を支える一端を担いたい」と述べた。

同協議会の宇野茂会長(NAA執行役員営業部門貨物営業部長)は、「これまでデータがない状態での議論だったので、データに基づいた話ができる大きなスタート地点に立った」とし、「割の合わない仕事は誰も受けなくなるのは当然のこと」とし、「この問題を解決しないと物流が隅々まで行き渡らなくなる。成田空港が担う物流の責任は重いと思っている」と述べた。

 

今後、協議会は荷主への理解促進も含め、外部への発信にも努めていく。

◎関連リンク→ 成田国際空港株式会社