免許制度がドライバー流入の妨げに サポートが必要
ドライバーの高齢化に伴い、従業員の若返りを目指す企業が増えている運送業界だが、「若手が入ってこない」要因として「運転免許制度」を挙げる経営者は少なくない。2017年3月に行われた道路交通法の改正によって準中型自動車免許が新しくでき、普通自動車・準中型自動車・中型自動車・大型自動車免許の4種に分かれているが、これらが運送業界への人材流入の妨げになっている場合があるという。
同年の道路交通法改正で誕生した「準中型自動車免許」。車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満、乗車定員11人未満の準中型車を運転することができ、主に2tトラックなどの運送車両が当てはまる。
同免許が誕生した背景には、「トラックドライバー不足の解消」「交通事故削減への期待」がある。
実際に、2007年の改正案で中型免許が新設されたことで事故件数は減少している。
全日本トラック協会が発表している「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」によると、準中型免許が新設される前の2017年の当事者種別の死傷事故件数の推移で中型トラックは6572件に対し、新設された2018年には4862件、2019年には4031件となり、中型の区分では減少したが、準中型では2018年に2452件、2019年に3171件となっており、以降は減少している。
準中型免許の取得は、普通免許と2年以上の運転経歴が必要な中型免許に比べ、免許取得のハードルが下がり、業界未経験の新入社員を即戦力にできるというメリットがあるとされていたが、「運転できる幅が狭くて、結局、中型免許を取得しないといけない。二度手間になっている」と大阪府の運送会社社長は指摘する。
「中型免許を取得するには、普通免許取得から2年以上の経験が必要となるため、高校を卒業して就職しようとする若者が中長距離を担う運送企業に入ってこなくなった」と同社長。さらに、「こうした中型車を取得するには無論、準中型免許を取得していても教習所への再入所が必要となるため、免許取得費用を支給しても、その時間と手間を考えれば、若者にとって物流会社への就職はハードルが高い」と述べた。
新卒でドライバーとして入社したという30代の男性に免許制度について話を聞くと、「たしかに免許を取得するまでは面倒だなと感じた。しかし、内定が決まってから入社までの間に費用負担や時間確保をしてくれたおかげで、あまり負担を感じず、取得することができた」という。「こういった未経験者に対する支援やサポートをいろんな会社で行ってくれると、業界に入ってきやすいんじゃないか」と述べた。
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