物流業界の人事課題をテーマに、ギオン(衹園彬之介社長、相模原市中央区)、アサヒロジスティクス(横塚元樹社長、さいたま市大宮区)、花王ロジスティクス(川島基弘社長、東京都墨田区)が登壇するイベント「物流人事サミット」が3月5日、都内で開催された。イベントはギオンとPR TIMES(同港区)が共催。3社に加え、美容室大手のアッシュ(横浜市中区)がゲスト登壇した。前半は4社が取り組みを発表。後半はパネルディスカッションが行われた。

ギオンからは執行役員管理本部副本部長兼人事部長の須藤亮平氏が登壇。採用面ではベースアップ、年間休日の引き上げ、リファラル採用の活性化。定着面では、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定、評価制度の刷新、人事・労務アプリケーション「SmartHR」の活用といった取り組みを行い、社員純増数前年度比1.6倍を達成。ロイヤリティとエンゲージメントの双方を向上させていく必要があると指摘した。

アサヒロジスティクスからは人財本部採用育成グループのグループ長の井上健氏が登壇。女性や地方出身者の採用を拡大する取り組み、ドライバー研修施設の開設や人材育成の仕組みを紹介した。

花王ロジスティクスからは取締役人材開発部門統括の御田博隆氏が登壇。同社の人材育成キャリアパスモデルを示し、必要な資格や知識を体系的に身につけることができる制度を紹介。社員の自己啓発の支援に力を入れているとした。

業界外の事例として、アッシュの大澤祐二氏が登壇。芸能事務所と提携し、K―POPアーティストのヘアメイクをする機会を社員へ提供。採用増につなげた事例を紹介した。

後半のパネルディスカッションでは、登壇者4人が互いの発表について意見を交わしたほか、参加者からの質問に回答した。また、物流業界全体のブランディングについて議論。「物流は面白い仕事だとアピールして皆さんに認知していただきたい。専門的になるので、どうアピールするかが課題」(御田氏)、「ロジスティクスについて学ぶ学生でも、物流現場を見る機会は多くない。世の中の配送料無料についても少しずつ変えていくことで物流の価値が上がっていく」(井上氏)、「物流現場も変わらなければならない。数値化や言語化が十分ではない。物流現場を科学するということが大事で、それを若い人に伝えられることが重要」(須藤氏)といった意見が交わされた。

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