T2(森本成城社長、東京都千代田区)は2月12日、セイノーホールディングス、西濃運輸、日本郵便、JPロジスティクス(以下JPL)とともに貨物を載せた自動運転トラックの実証実験を行った。T2は7月に商業運行を開始する予定で、2027年には高速道路上のレベル4の自動運転での運行を、2031年には自動運転トラック2000台を目指していく。

今回の実証実験では、神奈川県相模原市にある「GLP ALFALINK相模原I」で荷物を積み込み、大阪府内の西濃大阪西支店とJPL大阪南港支店まで輸送し、途中約500kmの距離のうち、新東名高速道路の駿河湾沼津から豊田東まで180kmをレベル2の自動運転で走行した。翌13日は、新大阪郵便局と西濃大阪西支店で荷物を積み込み、西濃厚木支店と神奈川西郵便局へ輸送した。

同実証では、積載率を50%ほどに抑えて運行。これは、自動運転中の車体バランスを調整するためで、今後は積載率の向上も目指すという。

T2事業開発本部物流企画部の高橋広之部長は「T2は自動運転トラックの開発はもとより、運送事業者として貨物の輸送をスタートさせており、実際の貨物輸送のオペレーションから、知見や経験、ノウハウ、課題などを得て、自動運転の開発にフィードバックし、開発のスピードアップを図っていく」と抱負を語った。

西濃運輸運行部参事の渡辺俊幸氏は、時間外労働の規制によりドライバーの労働時間が短縮されていることをあげ、「1時間の労働時間の削減が、我々にとっては重い課題となっている」とし、「自動運転の普及で、労働力不足をどう補い、輸送ネットワークをどう保持していくかが大きなポイントとなっていく」と指摘した。

渡辺氏は、「さらなる技術革新によって我々も安心して荷物を預けられるのではと期待している」とし、「レベル4の自動運転への後押しをしていきたい」と述べた。

日本郵便の郵便・物流ネットワーク部の仲谷重則部長は「トラックドライバー不足は直近の我々の課題であるが、郵便物流のサービスの維持をしっかりとやっていかなくてはならない」とし、「レベル2からレベル4へと技術開発を進めるなかで協力できれば、日本郵便としても自動運転にいち早く着手でき、課題解決の可能性が広がる」と話した。

実証実験では、T2のドライバーが車内で遠隔点呼を行い、自動運転のオペレーターとともに相模原から大阪に向け出発した。

T2には現在、10人のドライバーが所属しており、7月の商業運行に向け積極的に採用を進めているという。ドライバーを教育するプロジェクトマネージャーの鷹野徹氏は、自身も15年ほどトレーラーやトラックに乗り、長距離運行に従事した経歴がある。

鷹野氏が同社への入社を決めたのは、「自動運転が実現すればドライバーはどうなっていくのか。ドライバーの今後が見えてくる会社だと思った」という。

同氏は「自動運転は現在、研究・開発中で、自動運転ができなくなる時もあり、そこをいかに修正していくかがポイント」とし「ドライバーが瞬時に対応するトレーニングをしていく必要があり、教育担当としてそこを重視している」と話している。

なお、T2は3月3日に実施される国交省主催の「高速道路における路車協調による自動運転トラックの実証実験」に参加を予定している。同実証は、道路状況を自動運転車に情報提供することで、自動運転をサポートする路車協調の情報提供有効性の検証を目的に行われる。

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