ロジスティード株式会社(東京都中央区)は、安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」を展開。「運転事故につながる危険の芽を、瞬時に把握して摘み取ることを徹底的に追求した」同ソリューションを、自社だけでなく、同社と取引のない運送事業者へも提供している。

 

開発の端緒は2015年、原因が判然としない交通事故が3件、同グループのある営業所で立て続けに発生したことにさかのぼる。

 

事故原因を追及したところ、その3人が、「精神的疲労」を抱えていたことが判明。ストレスで精神的疲労が生じた結果、運転に集中できず、漫然運転になっていたのが原因だった。事故を起こしたドライバーが思い悩んでいたことは、当時の運行管理者や同僚など周囲の人々も気がついていなかった。

 

そこで同社では、「漫然運転が原因となる交通事故を、テクノロジーによって対策することができるソリューション開発」のプロジェクトを立ち上げる。

 

具体的に目指したのは、「ドライバーの生体情報を取得することによってその人の疲労を測定し、危険運転の予兆を検知する」こと。しかし、さまざまな市販製品を試すも、疲労やストレスをきちんと測定できる製品に出会えず、また「疲労・ストレスと、ヒヤリハットの相関性をどう立証するのか」という課題にも直面した。

 

 

そんなときに出会ったのが、株式会社村田製作所(京都府長岡京市)と株式会社疲労科学研究所(大阪市淀川区)が共同で商品化した「疲労ストレス測定システム」だった。これは、心拍や脈拍のゆらぎを測定することで客観的に疲労・ストレス度を計測するソリューション。この出会いと一般社団法人日本疲労学会の関係者とつながったことを機に、疲労と交通事故の相関性を実証するステップへと進む。2017年からは、自社グループのドライバーを対象に実証実験を重ね、3〜4年の月日をかけて、ついに事業化を果たした。

 

これまで運行管理者は、トラックドライバーの立ち居振る舞いや顔色を点呼時に観察し、健康状態を推測するしか術はなかった。しかし、「SSCV-Safety」により、疲労まで含めたトラックドライバーの健康状態を科学的に把握することが可能に。実際、現場のドライバーからは「風邪気味だと明確に疲労度が高いと計測してくれる」などのように、「SSCV-Safety」の効果を明確に実感している声が挙がっているという。

 

 

実運送を行う運送会社として、現場の知恵と経験から生み出された同ソリューション。「3PLのリーディングカンパニーとして、果たすべき責任がある」とし、効率的な安全対策を実現する有効な手段として、今後も普及を進めていく構えだ。

 

◎関連リンク→ SSCV-Safety