M&Aナビ(東京都渋⾕区)はこのほど、同社が運営する事業承継のマッチングメディア「M&Aナビ」を完全無料化。「買い手・売り手双方ともに利⽤料や成約⼿数料が全くかからない」と語る瀧⽥雄介社長に話を聞いた。

「社会にとってなくてはならない存在の物流業界だが、後継者の不在で存続が危ぶまれる企業が増えている」と切り出す同社長。「そのような企業が1社でも多くM&Aを実施できるように、中⼩企業のM&AプロセスのDXを通じて、透明性・公平性を⾼めるお手伝いができれば」と同社の理念を語る。

以前は成約手数料を双方に設定していた同社。瀧⽥社長は、「より多くの人をサポートしたいという思いが強かったが、どうしても数百万円という手数料の壁があり、『会社を売っても何も残らない』という結果に陥りがちだった」と振り返る。そこで、「事業承継という社会的課題の長期的なスパンでの解決を目指し、思い切って完全無料化に踏み切った。仲介ではなく、中立の立場からM&Aを⽀援するプラットフォームとしてリニューアルした」という。

M&Aを希望する売り手企業は、同メディアに匿名情報を登録。買い手からのオファーは「平均26件」も寄せられるという。売り手がオファーを受諾すると買い手に通知され、秘密保持誓約書を差し⼊れた上で、質疑応答をオンライン上で展開。「話が進めば代表同士でざっくばらんに面談していただき、条件がまとまればM&A成立という流れになる」。

また、「売り手」と「買い手」の他に、「専門家」のアカウントがあり、「税理士や会計士などなど信頼できる第三者に相談したり、『契約書のドラフト作成だけ』、『面談時に同席だけ』など、特定の場面ごとに支援を依頼できる」。

 

同メディアには物流会社の登録も増えており、「軽貨物事業者さんの売却では、60件を超えるオファーが寄せられた」という。「買い手は物流系の同業他社以外にも、デリバリーに進出するために軽自動車とドライバーを確保したい飲食店など、幅広い企業が名乗りを上げた」という。

「現段階は、売り手・買い手双方に寄り添い、『多くの方に使っていただけるプラットフォーム』を構築していくフェーズ」と無料化について説明する同社長。「将来的に、買い手からのサービス利用料での収益化を目指す」とし、「今後は、企業価値を自動で算出できるシステム開発に投資する予定。あらゆる企業が低コストでM&Aを⾏える世界の実現に向け、邁進していきたい」と語った。

 

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