ヨロズ物流(新谷剛社長、大阪府富田林市)はこのほど、運送業や建設業、自動車整備業などを対象とした協同組合を設立した。名称は「ボンド協同組合」で、新谷氏が代表理事を務める。

新谷氏は、「人材不足や賃金の上昇、資材・燃料などの経費高騰にともない、事業経営が非常に厳しい時代に突入しており、各事業者がさまざまな成長戦略を考えるなかで、結束して難局を乗り越えるべきと判断して協同組合の設立に至った」と経緯を説明。「人と人との『絆(英語でボンド)』を大切にして、物品の共同購買や関連する事業の共同受注および、外国人の技能実習生の受け入れを目的として運営していく」と意気込みを語る。

事務局長に就任した坂本享広氏は、前職でメーカーの工場で外国人雇用などを手掛けた経験を持つ。「物流業界は人手不足でこれからは外国人に頼らざるを得ない。外国人の人材派遣事業をやりたい」との新谷社長の思いを聞き、昨年10月に入社し、準備や仕組みの構築を進めてきた。

技能実習生を受け入れて、人材に困っている各企業に派遣していくため、ヨロズ物流単独でなく「団体監理型」で受け入れを行うこととし、大阪府に申請を出し、管理組合としての許可が6月末に下りた。さらに外国人技能実習機構に監理団体許可を申請中で、来春からの受け入れを予定している。坂本氏は、「前職でつながりのあった送り出し機関と契約しており、『こういう職種で何人欲しい』といったご依頼があれば対応させていただく」と話す。

5社で出資・設立され、現在約10社が加盟している。技能実習生の受け入れに先駆けて、燃料などの共同購買を9月からスタートさせた。坂本氏は、「保有車両5~40台くらいの規模の企業をターゲットにしており、組合単価として安価で仕入れて燃料コスト低減に協力できれば。また、今後ETCなども展開していきたい」と述べる。

技能実習生は基本的に3年で母国に帰るが、さらに特定技能資格を取得すると5年追加され、計8年働くことができる。特定技能は企業の直接雇用となり、それに対応するため、ヨロズ物流として「登録支援機関」と「有料職業紹介」の許可を取得した。「例えば自動車整備士が不足している企業に対しては、『自動車整備』の特定技能者を紹介する。その第一弾として、板金・整備を手掛けるグループ会社に、ベトナムから特定技能者を受け入れた。技能実習生として3年経験しているので戦力として十分に期待できる」という。

なによりメインで考えているのは、外国人ドライバーの受け入れだ。今年4月に特定技能「自動車運送業」の施行が決定したが、評価試験がまだ発表されておらず、また、試験への合格や、日本で運転できる免許(外免切り替え)、日本語能力試験への合格など、雇用までのハードルは低くない。それでも、「特定技能の資格を持つ者をまず受け入れて、その後、本人の了承を受けたうえで資格変更という流れでドライバーを育成するなど、最善の方法をご提案できれば」と展望を語る。

坂本氏は、「中小企業は人手不足や高齢化で、募集をかけても集まらないと聞く。そうした事業者の一助になれば」と、技能実習生受け入れにともなう同組合への加入および特定技能者の紹介の問い合わせを呼び掛けている。

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