第278回:令和時代の運送業経営 管理職編(76)
【リスク対応編】76
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も中小運送業における「労務リスク対応」に関し解説してまいります。
1.労務リスクとは
中小運送業の経営に関する外部環境は法改正やエネルギー相場に加えて、荷主のサプライチェーン変更・外資によるM&A・モーダルシフトなどもあり、その影響は大きいですが、対策を立てにくいリスクです。
内部リスクとして「事業承継」と共にあるのは「労務リスク」です。
「労務リスク」にはドライバーの採用難や定着不足、あるいはさまざまな労務トラブルが発生しています。弊社のお客様でも「やっと採用できたドライバーが3か月で突如辞めてしまった」「募集してもさっぱり応募がこない」「ドライバーと配車マンが口論になり暴力事件に発展」「所長の発言をドライバーが録音、労基署に申告」「給与明細の内容について奥さんから何度も問い合わせがくる」というようなご相談が日々寄せられています。社員数や台数が多いとトラブルが多くなっています。問題です。
背景としてはリスクの1つである「慢性的なドライバー不足」が挙げられます。ドライバー不足であるために「いま辞められたら困る、なんとか引き止めたい」という思いが経営者側にあるために諸々のトラブルが発生しています。就業規則類を一定整備したとしてもトラブルは一定程度発生してしまいます。
経営者に必要なのは、トラブルが発生した場合に法律や規程だけでなく、会社を守るため、会社を成長させていくために「自身で考え」「自身で判断」する思考力、人間力だと感じます。会社をもっとも愛し、大切に考えているのは経営者であり、縁あって入社されたドライバーは大切な社員です。
2.対策の優先順位
日々、対応しなくてはならない荷主対策等営業上の問題に加えて、事業承継や労務リスクに対応していく必要があるため、発生頻度と影響度を勘案し、対策に優先順位を付ける必要があります。
影響度、損害の大きいリスクを優先的に対応していくことはリスクマネジメントの原則です。
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