本紙(9月19日号)で取り上げた名古屋港で常態化した海コン事業者による空コンテナの水洗い、いわゆる「洗バン」。

きれい・汚いなどコンテナの状態に関係なく、海コンドライバーが返却空コンテナを水洗いしている。国際複合一貫輸送約款では、「荷主は汚れがない状態で返却する責任を負う」と記されているが、業務はドライバーが担うケースが多い。

危険物を含む可能性があるコンテナを無防備なドライバーが洗う行為は健康被害も懸念され、汚染物質排出の環境被害など、多くの問題を含有する。輸送業務を担うドライバーの職域外の作業で、海コン事業者が付帯作業料として請求できているのかも不透明だ。

五大港の1つである名古屋港は日本一の輸出港湾。極東などからの輸入コンテナは古くて汚れていることが多い。

また、荷物へ影響がない程度の汚れであっても、厳しい輸出業者は「こんな汚いコンテナにうちの商品を載せられない。きれいなコンテナに変えて」と断ることもあり、荷主はきれいなコンテナを要望する。

「コンテナは船会社の持ち物であり、『コンテナをきれいに返す』というのはあくまで船会社と荷主との契約。なぜ、ドライバーがそこに入ってくるのか」、そう話すのは洗バン問題を最初に提議した全港湾東海地方名古屋支部の宮部行哲副執行委員長。

もともと神戸港で海コンドライバーとして働いていた同氏は、阪神淡路大震災を機に拠点を名古屋港に移した当時、「なぜ水洗いを?」と疑問に感じたと振り返る。

問題提起したのは全港湾に所属した2011年。名古屋港全体の問題として中運局が中心となって関係団体らによる実態調査や意見交換、勉強会が開催された。

同氏は、「名古屋港は付帯作業が多すぎる。水洗いだけでなく、コンテナのラベル剥がしや釘・ガムテープなどの回収、コンテナに穴が空いていたらシーラーで埋めるのもドライバー。名古屋港の一部の海コンのトラクタには、コンテナをきれいにするための『水切り』『ほうき』『バール』『脚立』を載せている。ほかの港では考えられない」と話す。

また、「コンテナが濡れていてはすぐに荷物を積めないので、1日中、バンプールで扉を半開きにして乾かしている」と現状を明かす。

 

一方、「最近はデバン先で掃除するところも増えてきているが問題解決には程遠い」と指摘。その理由について、「ドライバーは水洗いが自分の仕事と思っているため、デバン先が掃除するといっても、ドライバー自身が断ってしまう。名古屋港で国際約款を詳しく知っているドレージ会社は少ない。特に、実運送をやっている会社はよく知らないだろうし、ドライバーも会社から教育を受けないから分からない。自分の仕事だと思って、荷主に言われるがまま掃除している」と、水洗いの責任元がどこにあるかの周知がされていない現状を語る。

宮部氏は、「全責任を持ってバンプールが受け取るよう行政などが動いてほしいというのが支部の方針。中運局が開催した勉強会に参加した関係団体は満場一致で、『海コンドライバーに責任はない』という認識だったが、いまだにやらせている」と強く訴える。