物流不動産協同組合 中継輸送のための「シェア・クロスサービス」
2024年問題でドライバーの長時間労働の改善に取り組むトラック業界にあって、中長距離の輸送で、これまでのやり方が難しくなっており、撤退を余儀なくされる事業者も出ている。こうした中、注目を集めるのが、「中継輸送」だ。ドライバーの負担が軽減され、長時間労働の改善も期待されている。ただ、中小企業一社のみで中継拠点を作り、運営するのは難しいという課題もある。そこで生まれたのが、物流不動産協同組合(大谷巌一理事長、東京都港区)が運営する「シェア・クロスサービス」だ。同組合で賛助会の会長を務める秋元運輸倉庫(秋元伸介社長、東京都港区)の鈴木清常務は、「中小企業が誰でもアクセスできるサービスとなれば」と話している。
同社では自社独自で荷主や同業者からの荷物の積み替えを行っていたが、2024年問題が話題になるにつれて、同様の取り組みを求める事業者が増えるのではないかと同組合に相談したという。
サービスとして行うにあたり課題や問題がないか話し合い、2022年末に、組合での運営をスタート。鈴木常務の言葉通り、徐々に賛同する会社が増え、現在は約20社が参加している。「東北から都内へ建材を配送する際、これまで小型のトラックを出していたが手配が難しくなってきた。そこで大型トラックで関東まで持ってきて、小型トラックに積み替える際に利用したいという声が寄せられた」という。さらに東海から複数台の小型トラックで運行していた便を、大型トラックにまとめたいという案件も寄せられているという。
「シェア・クロスサービス」に参加するジャパンロジスティクスパートナーズ(JLP、置田圭三社長、神奈川県横浜市中区)では、同サービス開始以前から、自社で荷物の積み替えを行ってきた。同社には、荷主や物流会社からかねて、地方より首都圏へ輸送される工業製品の積み替えができないかという要望があり、対応してきたという。「神奈川県以外の都県への積み替えは、協力関係にある企業に要請してきた。効率や新たに拠点を設け運営するコストを考えると、1社で行うよりも複数が参加できる方が対応できる地域も拡大する」として、同サービスを始めることに賛同したという。
現状では荷姿によって料金体系も異なる。また、利用したい時間も荷主によって違うため、交渉しなければならないが、協同組合のフォローを受けながら調整しているという。
同社輸送営業部の鈴木敦史部長は「すでに何社かで始めていたサービスに、『シェア・クロスサービス』という名前がついた」と説明。「この輪を広げていくことで、ユーザーにとって便利なものになっていけば」と期待を寄せる。
カントラ(荒川正洋社長、埼玉県上尾市)はシェア・クロスサービスが始まってから参加した1社。たまたま見つけた記事に交流のあるJLPのトラックが写っていたのがきっかけだという。同社では建材などの二次配送を展開。地方からの荷物をデポ内で仕分けし、都内へ配送を行っているが、搬入する際のトラックの大きさなど制約も多いという。「まだ実績は少ないが、これからサービスに賛同する企業が増え、活発化していけば」と話している。
民間企業の横のつながりをもとにはじまったサービスだが、1社では難しいことも複数でやれば可能となる。徐々に賛同者を増やしており、国交省からも注目を浴びている。プラットフォームがしっかりと機能していけば、効率化も図れ、2024年問題の解決の一助となることも期待できる。
◎関連リンク→ 物流不動産協同組合
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