神奈川ト協(吉田修一会長)は、県内の運送関係者と一般消費者に対して2024年問題に対する意識調査を実施した。調査結果から、運送業界と消費者で意識や理解に依然として大きな差がある事実が見えてきた。調査対象となったのは県内の運送関係者 1035人と一般消費者3000人。

 

物流の2024年問題について、運送関係者の85%が内容まで理解している一方で、一般消費者の約3人に1人(29%)が「名称も知らない」と回答。20代に限った場合、49%が「名称も知らない・内容も分からない」と答えた。昨年から2024年問題を取り扱った一般メディアの報道が増えたことで、「一定の認知を得ている」というのが肌感覚だったが、実際はまだ意識や理解に大きな差があると言えそうだ。

 

業界と消費者の「ズレ」は再配達の有料化に対する理解でも見受けられる。運送関係者からは、「置き配ができる施設の充実」や「再配達手数料を取る対策」を求める声が多く寄せられた。一方、一般消費者の回答は「追加で支払うことはできない・考えられない」が32%と最多。次点が100円から300円という回答で28%だった。ここでも両者でギャップが見られた。

 

今回の調査では、2024年問題を解決するための課題や現場の実態についても結果をまとめている。運送関係者は、「適正な運賃や送料の値上げに理解」71%)」「トラックドライバーの待遇を改善する(71%)」が必要と。具体的には、「ドライバーの賃金面での待遇と待機時間の問題を改善しないと、これから先さらに人手不足になっていくと思う」「輸送会社だけでは解決できないので、荷主も理解して待機時間の削減や運賃値上げを積極的に協力してほしい」など、トラックドライバーの人手不足を懸念する声や荷主に改善を求める声が多く寄せられた。

 

また、トラックドライバーの運送以外の付帯作業の問題についても調査。フォークリフトや手作業での積み下ろし、待機時間、検品やラベル貼り作業など、「運ぶ以外の仕事」について、一般消費者の半数近くが認知していないことが明らかになった。

 

1日の平均荷待ち時間に関して、運送関係者の約15%が「2時間以上」と回答。高速道路利用料金の事業者負担についても7割以上の事業者が負担していると回答した。

 

同協会は、「あたりまえになっている商習慣を見直し、荷主も一般消費者も意識や行動を変えることで問題解決につなげる必要がある」と指摘。2024年問題が業界問題ではなく、社会全体の問題であることへの理解を求めていく必要があるだろう。