第264回:令和時代の運送業経営 管理職編(62)
【監査・調査対応編】62
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号から「監査・調査対応編」として、労基署等への調査対応について解説してまいります。
1.労働基準監督署の調査の種類
労基署の調査には大きく①定期監督と②申告監督の2種類があります。
「定期監督」については、長時間労働であることが統計上明らかな運送業や建設業等に対し重点的に調査に入ることが行われているようです。
両業種とも2024年に時間外上限規制が適用される業種であるため、実態を調査するという目的もあるでしょう。
労災が発生した場合で事態が重大な場合(例えば報道される等)には「災害時調査」が入ります。労災の原因がどこにあるのか、今後の災害防止体制の構築を目的とした調査です。
さて、経営者として特に注意が必要なのは「申告監督」でしょう。「申告監督」は社員からの申告を元にした調査です。調査に至った経緯等は開示されないことが多いようです。
理由が不明のまま、各種資料の準備に追われることとなり実務上の負担となります。
2.調査への対応
主として「申告監督」調査は監督官が来社する場合や出頭要請(労基署からの呼び出し等)により行われます。事案が大きい場合には、突然、監督官が来社することもあります。
ただ、事案の内容にもよりますが、例えば荷主への対応で繁忙な場合等、調査対応が十分にできない場合には「日時を改めていただく」こともあり得るようです。
なお、労働基準監督官は「司法警察官」という権限を持ち、事業場への立ち入り捜査や逮捕する権限を保有しています。
急迫した危険があると判断した場合には、経営者の意向に沿わずとも強制的に調査を実施することが可能とされています。
就業規則類、給与台帳、労働時間系データ、36協定等の協定類については、いつ調査に入られたとしても対応できるようにしておいた方がいいでしょう。
また、労基署は必要に応じ陸運支局とも連携し調査を実施する場合があります。
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