東京商工リサーチはこのほど、2023年度の道路貨物運送業の倒産件数が345件(前年度比31.1%増、前年度263件)で、3年連続で前年度を上回ったことを発表した。年度で件数が300件台に乗ったのは2014年度以来9年ぶりという。

 

資本金別では、1000万円未満が253件(前年度比50.5%増、前年度168件)と、全体の7割以上を占め、中小・零細企業の苦境が浮き彫りとなった。

 

理由別では、燃料費高騰などによる物価高関連倒産は141件(前年度比76.2%増)と大幅に増加し、燃料費などのコストアップが各企業の採算性を悪化させる要因になっている。

ほかにも、人手不足関連倒産は48件(前年度比118.1%増)で前年の約2.2倍を計上。東京商工リサーチが集計を開始した2013年以降、初の40件を上回り、深刻な人手不足とそれに伴う人件費アップが運送業の経営を直撃している。

 

東京商工リサーチは、「大手事業者では、長距離輸送に中継地点を設けたり、共同輸送で連携をとるなどの対策をとりつつ、コストアップ分の価格転嫁も進む一方、下請業者が多い中小・零細企業では、2024年問題の対策が進まない企業も多い」とし、「価格転嫁の遅れから賃金アップの流れに追随できず、ドライバーの確保が難しい企業もある。燃料価格の高止まりによるコストアップでも企業体力を削られ、先行きの見通しが立たず、事業継続を諦めるケースが増加している」とコメントしている。

 

今後についても資金繰りが限界に達した企業を中心に倒産が増加する懸念が高いと見られている。