船は増えるのに物流費が下がらんてどういうこと?

テルヤン:なぁカズキ、めっちゃおかしな話あるんやけど聞いてくれる?

 

カズキ:なんやねん藪から棒に。

 

テルヤン:船がどんどん完成してくるねん、27年から28年にかけて。ほんなら普通運賃下がるやん?

 

カズキ:そらそうやろ。船増えたら運ぶ枠も増えるから安なるはずやもんな。

 

テルヤン:ところがギッチョン、荷主の物流費は下がらんのやて!

 

カズキ:はぁ?意味わからんやん。それおかしいやろ。

 

テルヤン:せやねん。でもちゃんと理由あんねん。国際的な海運の調査機関が発表した数字見たらビックリやで。26年3月末時点で世界中の新造船の受注残が1億9100万CGTっちゅう単位で積み上がっとるんやて。

 

カズキ:CGTって何やねん。

 

テルヤン:貨物船の標準的な工事量に換算したトン数らしいわ。まぁ要するに船の量や。これが17年ぶりの高い水準なんやて。

 

カズキ:17年ぶりってことは、相当な量ってことやな。

 

テルヤン:せや。特にコンテナ船がエグいねん。27年に280万TEU、28年に350万TEUが海に出てくるらしいわ。

 

カズキ:TEUってまた別の単位出てきたやん。

 

テルヤン:20フィートコンテナ換算の数や。とにかく船がめちゃくちゃ増えるってことやねん。ほんなら運賃下がるはずやん?

 

カズキ:せやな、普通に考えたら。

 

テルヤン:ところがや、環境規制っちゅうのが別腹で乗っかってくるねん。これがキツいねん。

 

欧州の環境規制が物流費を押し上げとる実態

海上を航行する大型コンテナ貨物船
画像: Pixabay

カズキ:環境規制って具体的に何やねん?

 

テルヤン:まずEUの排出量取引制度っちゅうのがあってな、24年は排出分の40パーセント、25年は70パーセントが対象やってん。ほんで26年からは全量が対象になんねん。

 

カズキ:全量って、排出した分ぜんぶってことか。

 

テルヤン:せやねん。しかも26年からはCO2だけやなくて、メタンとか亜酸化窒素とかも対象に入ってくるんやて。総トン数5000トン以上の大型船が対象で、EU域内の航路は排出量全部、EU発着の航路は半分が課金対象や。

 

カズキ:それ相当な負担やん。

 

テルヤン:さらにや、FuelEUマリタイムっちゅう別の仕組みも25年1月から始まっとんねん。これは燃料の排出強度基準を段階的に厳しくしていくやつや。

 

カズキ:つまり、使える燃料が制限されて、コストが上がるってことか。

 

テルヤン:その通りや。この費用がな、荷主の見積書では別項目で出てくんねん。従来の燃料調整係数とは別でや。

 

カズキ:あー、だから運賃は下がっても、制度コストが別で請求されるから、結局物流費全体は下がらんってことか。

 

テルヤン:そういうこっちゃ。しかもこの制度コスト、船が増えようが減ろうが関係なく請求されんねん。

 

カズキ:それキツいな。荷主からしたら理解しにくいやろな。

 

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業界関係者の本音は複雑や

テルヤン:ちなみにな、今回の新造船ラッシュは前回とちょっと性質が違うねん。

 

カズキ:どう違うん?

 

テルヤン:08年前後に発注残高が積み上がった時は、海運市況が歴史的高値で投機的な発注が原因やってん。今回は古い船の更新需要と環境規制対応が主な理由やねん。

 

カズキ:なるほど、投機やなくて必要に迫られてってことか。

 

テルヤン:せやねん。専門機関の分析担当者によると、26年第1四半期の新規発注は前年同期比で40パーセント増やったんやて。このうちタンカーが32パーセント占めとるらしいわ。

 

カズキ:建造はどこの国がやっとるん?

 

テルヤン:中国が70パーセント、韓国が20パーセント、日本はたったの1パーセントや。

 

カズキ:日本1パーセントって、めっちゃ少ないやん!

 

テルヤン:せやねん。少なくとも1996年以降で最低水準やて。日本の造船業界も厳しいってことや。

 

カズキ:それで物流業界の人らはどう見とんの?

 

テルヤン:複雑やろな。船は増えるから運賃は下がる方向やけど、環境規制の費用は別でしっかり請求されるわけやから。荷主に説明するんも大変やと思うわ。

 

カズキ:「運賃下がりますけど、制度コストは別ですねん」って言わなアカンもんな。

 

テルヤン:しかも紅海情勢とかホルムズ海峡の問題もあって、ルート集中リスクも契約に盛り込まなアカンようになってきとるし。

 

今後の見通しと荷主が知っとくべきこと

海上を航行する大型コンテナ貨物船
画像: Pixabay

カズキ:結局、荷主はどう対応したらええんや?

 

テルヤン:まず見積書の内訳をしっかり確認することやな。運賃と制度コストが別建てで書かれとるから、それぞれの転嫁条件と改定基準を契約でちゃんと決めとかなアカン。

 

カズキ:なるほどな。運賃だけ見て安なったと喜んどったらアカンってことやな。

 

テルヤン:そういうこっちゃ。27年から28年にかけて船腹需給は緩む方向やから、海上運賃自体には下押し圧力がかかる。でも同じ時期にEU域内の環境規制費用は強化されんねん。

 

カズキ:運賃下がっても、トータルでは下がらんってことやもんな。

 

テルヤン:せや。しかも前回、受注残比率が30パーセント超えた後は、運賃下落と業界再編が続いたんやて。今回も似たような動きになる可能性あるわ。

 

カズキ:ただ今回は、古い船が解撤されたら純増分は圧縮されるんやろ?

 

テルヤン:その通り。それに紅海情勢が長引いたら、喜望峰回りで使われとる船腹も維持されるから、過剰感は前回ほどやないかもしれんな。

 

カズキ:まぁでも油断はできんってことやな。

 

テルヤン:せやな。荷主もドライバーも、運賃と制度コストを分けて考える習慣つけんとアカンわ。これからの物流費は単純やないってことや。

 

カズキ:ほんまやな。複雑になってきとるから、契約内容しっかり理解しとかんと後で揉めるで。コンプライアンス大事やからな!

 

テルヤン:おお、最後ええこと言うたやん!

 

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