10月4日、高市首相は自民党総裁就任演説において「ワーク・ライフ・バランス」という概念との決別を表明しました。その後、厚生労働相への指示として「健康維持と個人選択を前提とした就労時間制限の見直し」を提案し、2025年度の法案化を視野に入れています。これは「働きたい改革」と呼ばれる包括的な制度刷新の一環なのです。

 

現行制度では2019年施行の法律により、超過勤務は基本的に月45時間・年間360時間が上限とされています。例外的状況でも月100時間未満、複数月平均80時間以内という制約が存在します。これは過労死認定基準すれすれの水準といえるでしょう。あなたも知っておくべきことは、この上限緩和が健康リスクを高める懸念があるという点です。

 

2025年版「過労死等防止対策白書」によれば、飲食業界では店舗責任者の約3割が危険水準とされる週60時間超の勤務実態にあります。この状況をどう考えますか？連合や弁護士団体からは「長時間労働是正の流れに逆行する」との批判が上がっています。対照的に、世論調査では緩和賛成が64%と反対の24%を大きく上回り、特に現役世代で支持率が高いようです。

 

興味深いのは小池都知事の姿勢です。都庁では「ライフ・ワーク・バランス」という表現を採用し、生活優先の考え方を強調しています。首相の労働時間緩和案に関する議論は今後も続きますが、10月24日の所信表明演説ではこの話題に触れられませんでした。

 

私たちの働き方は今、大きな転換点を迎えているのかもしれません。生産性向上と個人の選択肢拡大を目指す動きと、健康被害防止の観点からの慎重論―どちらを支持しますか？この議論の行方は、あなたの明日の働き方にも影響するかもしれません。

 

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