新入社員の達子(たつこ)と先輩達による日常時々非日常な微コメディ漫画、元気いっぱいに連載中☆

第137話

恐怖は続くよ

第138話

どこまでも…

はみだしッ!ドラ日和
運送怪談
タツコ
ママやんさん…夏っつったら…?
ママやん
そうね〜スイカ?
ちがう、かき氷とか?
そうめん!冷やし中華!
タツコ
なんか食べ物ばっかりじゃないっスか…
違いますよ〜怪談ですよ!
か・い・だ・ん!
ママやん
あ〜そっちね…
タツコ
う〜わ…
めっちゃテンション下がった
ママやん
いやなんつーか、こないだね、ちょっと見ちゃったのよ…
タツコ
え?なにを?
もしや!? お化け的なヤツ?
うわ〜やめてー!!!
ママやん
アンタ自分でこの流れに持ってたんじゃないのよ…
なんだかんだで結構好きなんじゃないの?
タツコ
怖い話はキライですよ〜!!
こないだも、いとこが急に怖い話をしてきてムカついたんです!!
ママやん
あっそ。
じゃあこの話の続きはナシで。
タツコ
ちょっと〜それはないですよ〜〜!! 気になるじゃないですかァ〜!!
ママやん
聞きたいのか聞きたくないのか…
タツコ
フクザツ!オトメゴコロ!
ママやん
は?乙女??
なにそれ、そういう曲のタイトル?
タツコ
まぁイイんです。
それよりなにを見たって言うんですか?
ママやん
運転中のサイドミラー越しにね…見ちゃったのよ
タツコ
ゴクリ….
ママやん
直立しながら追いかけてくる人影が…
タツコ
うわー!無事だったんですか!?
ママやん
無事に決まってるでしょ、今ここに居るんだから…
タツコ
いや、その女性ですよ!
ママやん
え?そっち?
無事もなにもさ、実体がないんだからその人影。
タツコ
じゃ…やっぱ…ゆうレーーー…..
ママやん
いや、そうじゃなくてさ。
配送先で停車中にサイドミラーに鳥のフン落とされてて。
それが人影に見えたのよ〜ってオチ。
タツコ
なーんだーー!
怖がって損した!
ママやん
昔のことわざにあるじゃない?
幽霊の正体見たり枯れ尾花(ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな)ってさ。
タツコ
なんすかー?それー?
ママやん
幽霊だと思って怖がってたら実はススキだったっていうことわざね。
ビビってるものが実は案外大したものじゃなかったっていう意味よ。
タツコ
なーんか、狐につままれた感ですわ〜
ママやん
意外なことが起こって唖然とする様子が「狐につままれる」の意味ね。
タツコ
まさにそれっスね〜…。
ママやん
うん、そういう話だからね…。
あ?なに?なんか文句あんの?
タツコ
うっ…怪談より… 今のママやんさん怖いっス…。

解説

皆さん、ご機嫌いかがですか?
いつも「ドラ日和」のご愛読、誠にありがとうございます。
また、この解説欄までお読み頂けているのであれば、記事作成者としてはこの上ない喜びでございます。


と、いったことを書き連ねておりますが、もしかしたらこれまで読んでこられた方の中で既にお気づきの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ワタクシはそう、たつ子ちゃんたちが働く運送会社「にこにこ運送」に常駐する点呼ロボット。
つまりアナタはこれまでコンピューターが作り出した“それらしい”と思う運送にまつわるテーマのコラムを読んでいたのです。

そんなバカな?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、これは本当です。


…という文章、実はA Iに扮したフリをした者が作っております。




…などと申したりしたところで…ここまで読み進めて、いったいどちらの情報が真実か、お分かりでしょうか?
今回は「怪談」がテーマですので、運送にまつわる怪談をご披露させていただきますが、この話は体験談という形で、私が知人から聞いたものを文章にしたものです。

という話もA Iが書いているとしたら、どうでしょう?
この体験談は実話なのか、それともA Iが作り出した寓話なのか…それを判断するのは、アナタ自身です。

【ある軽配送で働くドライバーの体験談】

ちょっと企業様名や地域などが特定されると、非常にまずいので伏せた状況でお話ししますけど、このお話ををしてくださった方、仮にAさんとしておきますけど、Aさんは以前は別の会社で勤められてて、その別の会社というのが軽配送の業務を行なってたそうなんです。
軽配送というのは、軽自動車を使って細かい荷物の配送なんかを行う業務なんですね。

最近はネットショッピングの需要なんかと合わせて、ネットオークションのような個人から個人への配送みたいなものも増えてきて、Aさんの前の勤め先である、これをB社としておきますが、そうしたものも含めて主に個人宅向けに色々なものを運んでいたそうなんです。

そんな中で起こった非常に奇妙な案件についての話です。


ある時、お届け先に到着した際に荷物を取り出そうとすると、そのお届け商品の入った段ボールから「真っ黒な液体」が染み出していたそうなんです。

これは中のモノが破損しちゃったんだなァと、お届け先のお客さまに謝らないといけないなと覚悟して玄関に向かう中で、しかしどうにも腑に落ちない点もあったそうです。危険な運転や大きな衝撃があった訳でもないし、何なら積荷は荷台部分にみっちり詰まっていたので取り出すまではほぼ動かないような状態だったそうなんです。それから気になったのは取り扱いの品名の部分に「部品(2ルい)」と書かれていたこと。

「2類?」とは何のことだろう?
漠然とでしたが、非常に嫌な予感がこの時はしたそうです。

一先ずはお届け先に謝罪しないといけないので、液体が染み出して角がフニャフニャになった段ボールを持って玄関先のチャイムを押すと、中から若い女性が出てきて、Aさんは事の次第をお伝えするとその場で段ボールを開封して中に入っている商品の状態を確認するなり、笑顔で中身が無事だったので問題ないと言ってきたそうなんです。

商品が無事だったのは良しとして、他の商品が破損している可能性も考えて、届け先に挨拶を終えると急いで車に戻ったそうですが、結局他の段ボールにも移る事なく全ての商品が無事だったそうです。

箱がフニャフニャになる程だったのになぜ?
気のせいにするにはあまりに不自然な出来事でしたが、兎にも角にも配達ノルマがあるので次の配送先へ急ぎ、その日は一通り積荷を配り終えようとしてた時にようやく荷台の床部分に乾いた染みの痕が残っていたことに気付いたそうです。

やはり気のせいではなかったことを確信し、会社の上司にその話をすると、その染み痕はAさんが入社する前からあったものだと言うので、液体が染み出していた荷物はAさんの見間違いということでその時はひと段落がついたそうです。 ただAさんとしてはあまりにもモヤモヤとする出来事と取り扱い品目の項目に書かれた「2ルい」という表記がずっと気になっていたと言ってました。

それから数日後にその荷物の配送先付近で凄惨な事件があったというニュースが全国規模で話題になり、なぜかAさんはその関連性を強く感じたそうです。そこで改めて「2ルい」と呼ばれる商品の正体を確かめるべく様々なサイトを検索しましたが詳しい情報を得ることはできなかったそうです。

さらにしばらく経過し、モヤモヤとしていたことも忘れかけていた頃、再び「2ルい」の商品を運ぶ機会があったそうです。その時は液体漏れこそありませんでしたが、すぐに以前の出来事を思い出したAさんは再び上司にそのことを質問するも「長く働きたいなら知らない方が良い」と一言だけ言われ、取り合ってもらえなかったそうです。

従業員の入れ替わりも多い職場だったそうなので、古くから働く従業員に話を聞くようなことも出来ず、かといって訳のわからないものを運んで何か事件に巻き込まれたりすることも考えると非常に気味が悪いので、その会社を退社することにし、現在の会社に勤めているとのことでした。

結局、「2ルい」の正体は解りませんでしたが、最近ふとそのことを思い出して色々と「2ルい」について解読を試みたところ一つ解ったことがあったそうです。

それは「2」だと思っていたものは「己」で「ルい」だと思ってたのは「心」、つまりふたつ合わせると「忌」という漢字になるのではないかと。中に入っていたのは何か“忌まわしい”モノで、あの会社の上司はそれを知ってて運ばせていたんじゃないかと、そう感じたそうです。

いかがでしたか? 果たしてこの体験談の真相は….

それでは、また次回お会いしましょう。 くれぐれもご安全に。


次回更新は8月27日更新予定! お楽しみに!