トラック業界が今注目しているのが外国人労働者の雇用です。
その背景にあるのは、日本人のドライバー不足です。
ドライバーの年齢は高齢化しつつあり、また若者が少ない現実があります。
そこで、物流業界を支えるための施策が進められており、外国人労働者に注目が集まっているのです。
ここでは、外国人労働者の雇用が促進されている背景と今後の可能性について説明します。


トラックドライバーが向いているのは若者?

運転業は楽というイメージを抱いている方が少なくありません。
確かに、運転業は原則として一人仕事のため、他者とコミュニケーションを取るような機会は少ないです。
しかし、運転業も楽なことばかりではなく、長時間の運転となると足腰に負担がかかる問題があります。
そのため、トラック業界は若者を求めているのです。
しかし、ドライバーの平均年齢は年々上昇してきており、60代以上のドライバーが少なくありません。
高齢ドライバーは労働時間を制限されがちで、それも物流業界に間接的な打撃を与えています。
それゆえ若者が求められていますが、日本人はトラックドライバーを敬遠する傾向が強くあります。
そこで、他国から外国人労働者を呼び込もうという動きが拡大しているのです。

外国人労働者の雇用により期待できる具体的なメリット

特定技能制度の活用により、外国人労働者が日本でトラックドライバーになるハードルが下がりつつあります。
日本は少子高齢化の影響を強く受けていますが、海外には若者が多い国が少なくありません。
ここでは、若者を雇用するメリットについて説明していきます。

物流業界における人手不足を解消できる

トラックドライバーを目指す外国人労働者の年齢層を見ると、20代が多くなっています。
20代は体力がありますし、仕事の飲み込みも早いです。
また、集中力や状況判断力、反射神経なども優れているため、安全運転をするうえでも多くの強みがあります。
若い人材が増えると起こることが業界の活性化で、外国人労働者たちに影響を受けて、日本人の若者の求職者の増加も期待できるでしょう。

即戦力となる人材を確保

外国人労働者の中には、運転のプロも少なくありません。
運転経験が豊富なプロを採用すれば、結果的に事故率の低下を期待できるでしょう。
事故を防ぐことで自社の評価が上がり、仕事の依頼率が増えるメリットも期待できます。
トラックドライバーにとって最大の敵は事故に違いありません。
事故を起こせば自社が多大なる損害を受けるだけでなく、荷主にも迷惑をかけてしまうでしょう。
結果として、今後の取引にも影響してくるため、事故率を減らす意味でもベテラン運転手が求められています。

業界の国際化の促進につながる

インターネットが普及した現代では、国際化の波がより強力に押し寄せています。
日本のみならず海外にも事業展開をするなら、外国人労働者がいると心強いです。
外国人労働者の中には英語を話せる人が多く、海外拠点で配送業務を遂行するうえで有利になります。
企業の国際化が進めば、日本国内からの評価もアップするでしょう。
企業イメージを向上させる意味でも、外国人労働者の採用が求められているのです。

自社の労働条件の改善につながる

日本は慢性的なトラックドライバー不足の状態にあります。
その一方で、ネット通販の拡大によって、物流量は急増しているのが現実です。
つまり、ドライバー一人ひとりに対する負担は、以前よりも格段に増えているのです。
こうした労働条件の変化が、離職者を増やす原因にもなっています。
外国人労働者の雇用は、自社のドライバーを増やすことにつながり、結果としてドライバー一人ひとりの仕事量の軽減につながります。
すると、高齢ドライバーにとっても働きやすい職場となることでしょう。
働きやすい職場は離職率が低下するため、ドライバーのスキルやキャリア形成の面でもメリットがあります。
つまり、外国人労働者の雇用が、巡り巡ってベテランドライバーを増やすきっかけにもなるのです。

社内の風通しも良くなる

外国人労働者を採用した企業からは、社内の風通しが良くなったという声が聞かれています。
外国人は全般的にポジティブな人が多く、意思表示も得意です。
外国人を一人雇用しただけで、社内が明るくなったという事例が数多くあるのです。
また、外国人が増えることでコミュニティが形成されれば、外国人にとっても働きやすい環境が構築されます。
明るい職場は人が集まりやすく、人が人を呼ぶという好循環を期待できるでしょう。
人が集まる職場を目指すためには、まずは職場の雰囲気を変えていくことが先決です。

まとめ

近年は外国人労働者をトラックドライバーとして迎え入れる企業が増えてきました。
速やかに人材不足を解消でき、また従業員一人ひとりの負担軽減にもつながります。
また、運送業者の活性化も期待できる、企業の国際化を後押しするなど、数多くのメリットを生み出します。