運送業界の「専業水屋」はこれからどうなる?
- この記事の要約
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運送業界の「専業水屋」はこれからどうなる?
「専業水屋(せんぎょうみずや)」とは、自分ではトラックやドライバーを持たず、他の運送会社に仕事をお願いする事業者のことです。これらの専業水屋が最近、法律改正により問題視されました。
新しい法律では、専業水屋がしっかりと管理されるようになる見込みです。これにより、正しい料金で仕事をしていない専業水屋は減っていくでしょう。その結果、専業水屋に頼っている小さな運送会社の仕事も減少する可能性があります。
転職や就職を考えている方は、特に今後の企業選びの参考にしてみてください。
皆さんは運送業界に「水屋」と呼ばれる事業者が存在することとをご存じでしょうか。
水屋というのは通称であり、一般的には貨物利用運送事業者のことを言います。貨物利用運送事業者とは、荷主等からの運送依頼に対して、自らは運送を行わず、他の実運送事業者を利用して運送を行う事業者のことです。
なぜ水屋と呼ばれるようになったかと言うと、昔、水を売り歩く商人(水屋)が飛脚などへの荷物の取次を行っていたことが由来とされています。
貨物利用運送を行うためには第一種貨物利用運送事業の許可が必要ですが、車両とドライバーを持つ実運送事業者の場合は登録制のため、ほとんどの実運送事業者は第一種利用運送の登録を行い、傭車を活用した利用運送を行っています。
一方、車両やドライバーを持たずに利用運送事業のみを専業で行っている「専業水屋」と呼ばれる事業者がいます。今回、4/26の貨物自動車運送事業法改正案成立の際に、車両やドライバーを持たずに利用運送事業を専業で行っている事業者が衆参両院において問題として指摘されました。
専業水屋に関して、改正法の附帯決議に盛り込まれた内容は次のとおりです。
衆議院の附帯決議には、「トラック運送事業における多重下請構造の是正を図り、実運送事業者における適正な運賃収受を実現するため、実運送を行わない、いわゆる「専業水屋」についても実態を把握し、規制措置の導入も含め必要な対策を講じること」と盛り込まれ、一方、参議院の附帯決議には「実運送を行わず利用運送を専門に行う第一種貨物利用運送事業者(いわゆる「専業水屋」)についても実態を把握し、運転者の運送及び荷役等の効率化に向けた責務を担わせるよう検討するなど、規制措置の導入も含め必要な対策を講じること」と盛り込まれました。
現在、専業水屋は車両もドライバーもいない為、行政監査の対象外となっており、適正化指導等も行われていません。
また、貨物自動車運送事業法自体が車両とドライバーを持つ実運送事業者を対象とした法律であるため、今回の改正内容が専業水屋には直接及ばないことになります。そのため前述した附帯決議が付されたという経緯があります。
附帯決議に法的効力はありませんが、国会が法の施行にあたり行政に対して注文をつけたものであり、大きな政治的効果があります。今後、行政の施策の中で「専業水屋」に対する何らかの規制が始まることは確実です。
専業水屋は日本中に数万社存在すると見られますが、実態は大小様々であり、しっかりとした体制で運営している企業もあれば、個人レベルで電話一本による取次を行っている事業者もいます。
現状、水屋は荷主と運送業の車両手配における調整弁として大事な役割を果たしていますが、仕事を横流しして手数料を稼ぐ一部の事業者がいままで規制もなく、放置されてきたことは問題であり、今回そこに焦点があたったことは良いことだと思います。
今から運送業界に就職しようと考えている人は、その会社が安定した荷主と取引しているのか、あるいは安定した荷主がなく主に専業水屋を通したスポットの仕事をしているのか、を見極めて就職先を判断する必要があります。
将来的にその会社がどのように推移するかを予想することが大事です。
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