近年、地震だけではなく、台風や豪雨、冬場では東北・北陸地域で豪雪による大渋滞や立ち往生が報じられるなど、災害が激甚化している。こうした中、トラックドライバーは基本的に外で、一人で行動していることもあり、常に災害に備える心がけが必要だといえる。

今回は、輸送中に道路でトラックが災害や事故に見舞われた時、ドライバーや会社の適切な対応について、全日本高速道路レッカー事業協同組合(JHR)の亀山善之理事長(写真左)と加藤紀明副理事長(同右)に話を聞いた。

同組合では、コロナ禍以前から毎年、技術研修全国大会を開催している。昨年10月に横浜市で、横浜市消防局など各団体とともに、事故や災害時の対応など詳しく場面を分けた2日間にわたる大がかりな大会を行った。

同組合には、大規模災害に備えた支援活動を行うJHR災害支援隊がある。全国にある支部から組合員が登録しており、全国都道府県との災害時における障害物撤去等の協力に関する協定締結を結び、要請を受けて支援隊として出動する。現在は、25の地方整備局や各都道府県、市町と協定を結んでいるという。

支援隊の担当三役を務める加藤副理事長は、「この研修会は多重事故を想定したもので、ハイパーレスキューなど各団体と一緒に救援作業の研修を行っている」と説明する。

加藤副理事長は、「支援隊の一番の目的は、緊急車両を通すために邪魔になる車をどかすこと」と説明。「東日本大震災の際は、協定を結べている個所も少なく、貴重品の責任問題などもあり、できることも限られていた」と振り返る。しかし、「ここ数年、障害物撤去等の協力に関する協定締結を結ぶ都道府県や市町村は年々増えている」とし、「法律の整備も進み、災害時に迅速で適切な対応がしやすくなっている」という。

その上で、亀山理事長と加藤副理事長は、意識を失って救急車に運ばれるような事態となれば別だが、「まずはドライバー自身の身の回りの安全確保を」と話す。

そして、事故や災害時にレッカー車が必要になった時、荷物を運ぶトラックへの注意点として、「荷物の重さを正確に申告してもらえるとありがたい」と話す。

申告が正確でないと、レッカー車のブレーキが利かないなど、さらなる事故を引き起こす危険性がある。

また、基本的なことだが災害時には「鍵を車に付けておくということを徹底してもらいたい」という。「緊急事態の場合はパニックになり難しい場合もあるが、基本に立ち返り行動を行ってほしい」と訴える。

一方で、同組合の救援隊はボランティア活動の一環でもあり、災害時にできることには限界がある。そのため「基本事項を各社で共有いただき、日々、災害に備えた準備を徹底していただけるとありがたい」と亀山理事長は話す。

◎関連リンク→ 全日本高速道路レッカー事業協同組合