富士通(東京都港区)は、グループ会社の富士通クラウドテクノロジーズ(川崎市幸区)の技術協力のもと、フォークリフト用ドライブレコーダーの録画映像を使用した安全評価業務を効率化する判定システム「安全荷役AIフォークバディ」をトライアル提供している。

富士通クラウドテクノロジーズのビジネスデザイン本部でプロダクトマネージャーを務める宮崎義継氏は、「従来の評価業務は目視やセンサーで行われており、一過性であったり、数値報告だけで改善につながらないなどの課題があった」と指摘。「映像を活用する場合も、膨大な録画時間から目視で評価するため時間がかかり、担当者によってばらつきが出ることもあった」。

サントリーロジスティクスと共同開発した同システムでは、AIがフォークの基本動作と危険操作を検知し、 定量的な評価結果と危険操作シーンのチャプター動画を作成。「乗車」「前進」「荷役」「旋回」などに自動分類される。宮崎氏は、「作成されたチャプター動画や解析結果をもとに、効率良くオペレーターに安全指導を行っていただくことができる」とし、「ユーザーからは『評価にかかる時間が半分に削減できた』という喜びの声をいただいた」と自信を見せる。

データサイエンティストの深町侑加氏は、「評価では、事故時の映像ではなく、日常の操作映像を利用し、事故になりかねない危険な操作をAIが解析する」とし、「評価する側の個人差や恣意的な判断を排除でき、客観性を保てるため、オペレーターの納得感も得られるはず」。

 

現在はトライアルとして提供中の同サービスだが、今夏には本格リリースを予定。深町氏は、「トライアルを通してAIにさらなる情報を蓄積させる」とし、「トライアルでは、ユーザーに20分以内の映像提出をお願いしているが、正式リリース時には自動化を予定しており、提出方法もクラウドとSDカードの2種類を用意したい」と付け加える。また、「現在はユピテル社の『FDR―810』を推奨しているが、今後は他メーカーのドライブレコーダーにも対応していく」とも。

宮崎氏は、「労災の中でフォーク起因の事故は多く、高止まりの傾向にある。今後もフォーク事故防止はもちろん、コスト削減にも寄与していきたい」と語った。