第215回:令和時代の運送業経営 新春特別号(2)
【新春特別号】(2)
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今号では2022年のスタートにあたり新春特別号として運送業経営者が直面する課題として、「2024年問題を考える」というテーマを解説してまいります(その2)。
1.給与の見直し方法
前回で2024年問題へ対応するための唯一の手段は「給与変更」であると申し上げました。今回では給与変更の具体的な内容について説明致します。
(1)時間把握の精度向上
2024年時間外労働時間規制強化に際し、事業者側の対策としてまずは適正な時間外時間数の把握が必要です。
本紙でも何度か解説しておりますが、業界全体の課題として時間把握の精度向上が必要となっています。出庫のアルコールチェック時刻から帰庫のアルコールチェック時刻及び積み込み・洗車などの作業時間の合計を「拘束時間」、デジタコで把握した「休憩時間」を差し引き「労働時間数」確定し、法定労働時間(変形労働の場合は変形労働時間数)を超過した時間を「時間外時間数」として捉えます。待機・手待ち時間と区別した「休憩時間」の把握が重要です。
給与変更を検討する場合、「基本給水準」(所定内給与額)は時間外時間数を基準に決定します。精度の高い時間把握を行い正しい給与変更を行うことが重要です。
(2)2022年は給与改革のタイムリミット
ドライバ―不足の傾向は今後も継続し、コロナ禍の影響も不透明な状況で経営のかじ取りが難しい現状ですが、2022年は、いわゆる「2024年問題」への対応として中小運送業の最大の経営課題である「給与改革」についてタイムリミットとなる1年になると考えます。
2.給与変更の方向性
私は従来から運送業のドライバーの給与制度は「基本給+手当+残業代+成果給(出来高)+歩合残業」で構成されることが合理的である、と説明してまいりました。
(1)最低賃金への対応
(基本給+諸手当)÷所定労働時間+成果給(出来高)÷総労働時間≧都道府県最低賃金となるよう設計します。基本給で最低賃金をクリアする必要はありません。
なお、基本給(所定内給与)を変更する場合は不利益変更対策が必要となる場合があります。
(2)残業代の支払い方法
残業代は所定内手当に関しては、定額時間外手当+超過時間外手当、深夜手当、休日手当で支払います。定額時間外手当は求人上「固定給」扱いになります。また、成果給(出来高)に関しても出来高(時間外・深夜・休日)を支給し未払いを防ぎます。
(3)公平な成果給(出来高)の導入
労基法は時間基準ですが、ドライバーの公平な評価には成果給(出来高)導入が必要となる場合が多いです。成果給(出来高)は「時間」以外の基準で計算する事が必要です。自社の運行に適した「公平な」成果給(出来高)の設定が求められます。
なお、成果給(出来高)の設定が難しい場合、時間・運行管理を再徹底する必要があるでしょう。
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