第220回:アフターコロナの運送業経営戦略
【質問】コロナ後の経営環境において運送業はどのように変化していくと予測されますか?
新型コロナウイルス感染拡大は、短期間に爆発的な広がりを見せ、未だ収まることなく続いています。現在はワクチンの開発と接種が進み、治療薬も順次開発され、近いうちに飲み薬が実用化されれば、現在の酷い状況よりはマシになるのではと期待されます。
感染増加の大波小波を幾度か経ながら、近頃は感染者数が減少傾向にあり、しばらくコロナ後についても考えられるようになりました。今回のコロナ禍は社会経済環境全般に極めて甚大な影響を与えました。
企業ではリモートワークが当たり前、飲食業は一斉にテイクアウトを開始し、巣籠り需要でEC市場が急拡大、ネット直販ビジネスも急伸、今や新車の購入もオンラインで完結するようになりました。社会のデジタル化が急速に進み、企業間の情報や会社内の管理業務全般にデジタル化が浸透する見込みです。
私たちがこの数年で経験したコロナ禍は、時代の流れを10年進めるほどの威力でした。この経験で痛感したことの一つは、卸売業や小売業の存在意義の希薄化と物流業の社会的優位性です。これからは、真に顧客が必要とする製品(商品)を生み出すメーカーとその製品(商品)をユーザーに届ける物流業の2本柱で日本の流通を構成する時代が到来するでしょう。運送業は近い将来、自動運転の進展やドローンの実用化等により、その形態が様変わりすると思います。
しかし、ドライバーが不要になるのは、かなり先のことであり、今は人材確保に努めることが重要です。
トラックドライバーの業務は一人でこなす作業が多く、ほかの業態に比べ非接触の時間が多いメリットがあるため、若者を呼び込む潜在的な魅力があります。
近年、独立志向の高まりを受けて、業務委託で配送を請け負う業態が伸びていますが、2024年から始まるドライバーの残業規制や最低賃金の上昇など、雇用に伴う諸々の問題を考えると、これからは雇用契約ではなく、業務委託制度を活用した運送形態が伸びる可能性が有ります。その場合に軽トラで運べる物流システムの構築と幹線輸送との組み合わせ、および業務指示が出せない業務委託制度では、その前提となる業務の標準化が必須です。
デジタル化により新しい物流システムを構築した会社がシェアを伸ばす可能性が有るでしょう。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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