ホルムズ海峡封鎖でコスト上昇 運送業界の打つべき手は?
ホルムズ海峡の封鎖によって、国内産業に与える直接的な影響について、ローランド・ベルガーパートナーの小野塚征志氏は「石油製品やLNGなどの原材料供給制約と価格高騰」「物流ルートの制約による輸送費増大・リードタイム延長」があると指摘。特に懸念されるのがナフサなど中東由来のものが入手できなくなることでの価格高騰やモノが作れなくなるというリスクだ。原材料調達が不安であるなら、当然ながら減産や値上げで対応せざるを得ない。産業によって打つ手がかなり変わってくるが、運送業界の打つ手は?

ローランド・ベルガーが4月にまとめた報告書「ホルムズ海峡の封鎖による国内産業とサプライチェーンへの影響」によると、原油供給の重要な海上輸送ルートであるホルムズ海峡の事実上封鎖により、物流・供給網の地政学リスクは上昇。封鎖が長期化するにつれて、影響範囲が拡大し、サプライチェーンの混乱と遅延だけでなく、消費者の行動変化による需要の減少まで見込まれるとしている。
政府や業界団体などの有識者会議の委員などを歴任する小野塚氏は、「軽油に関していえば、中東から日本にタンカーが来るまで20~30日くらいかかる。そう考えると中東に何か問題が生じたとしても20日間は普通にモノが届いているはず」とし、「ガソリンや軽油の生成量が減っているということは4月23日の現時点でないはずだが、値段は上がっている。備蓄米で騒ぎになったコメと同じ状況になっていると考えられる」とした。
「軽油の値段が上がって、ナフサの値段はもっと上がっているので、すでに資源インフレになっているといえるが、2~3か月経つと、ナフサやプラスチックの値段が今の倍どころの騒ぎでなくなり、いろいろなモノが作れなくなるので、3、4か月後に供給停止や生産停止が続発。そのころまで軽油は持つと思うが、軽油が持ったところでという状況になっていることが予想される」と話した。
こうした状況に対して、運送業界が打つ手はあるのか。化学メーカーやエネルギー系の会社と仕事をしている運送会社は、輸送量がどんどん減っていくという事態を迎える可能性があるかもしれない。比較的、食品などはトレーや袋など原油由来の製品を一部でしか使っていないため、まだましなのかもしれないが、3か月後はどのような状況になっているのかは分からない。
運送業界の打つ手について、小野塚氏は、「足元でもそうだし、未来もそうだが、運送業界は結局、燃料費はどうしても乱高下するリスクがあるので、これを機にサーチャージを考えた方が良いと思う」とし、「少なくとも燃料費を見える化して、足元に関していえば値上げさせてほしいと言いやすいタイミングではないか」とした。

ただ、「見えない化」していることで得をすることもあり、燃料費が下がった時にデメリットになるなどを理由に業界ではサーチャージ導入は進んでいない。だが、「こういう事態がこれからも起きる可能性はあるので、サーチャージを導入するかどうかは別にして、少なくとも原価計算はやれるようになっておいて損することはない」とし、「それをサーチャージにするのか、交渉の材料だけにするかはそれぞれの会社の判断だが、まずは原価計算を一丁目一番地でやって、自社のコストの見える化は業界が打つ手としては必須だと考える」としている。
