全国的に深刻さを増すバス業界の人材確保難。多くの乗客の安全を担う重要な職業であるにもかかわらず、その待遇は一般サラリーマンの平均を下回っています。厚労省のデータによれば、路線・貸切バス運転士の平均収入は約461万円と、給与所得者の平均478万円よりも低い水準にとどまっているのが現状です。

 

あなたが毎日利用する公共交通機関を支えるドライバーたちは、どのような環境で働いているのでしょうか？業界団体の調査では、9割以上の労働組合が「運転手不足」に直面していると回答し、多くの路線で減便や廃止が進んでいます。

 

この人材枯渇の背景には複数の要因が絡み合っています。まず収益構造の問題があります。特に地方では乗客減少による収入低下が顕著で、運賃規制もあり収益性向上が難しく、結果的に労働条件が悪化しています。

 

さらに業務自体の負担増も見逃せません。決済方法の多様化や外国人観光客への対応、いわゆる「カスタマーハラスメント」など、精神的ストレスは年々増加傾向にあります。不規則な勤務時間や長時間労働も相まって、新規人材の獲得を困難にしています。

 

2024年からの労働規制強化は、一見ドライバーにとって追い風のようですが、休憩時間確保のための減便や運行調整が必要となり、かえって収益性低下を招く可能性も。短期的には状況がさらに厳しくなるかもしれません。

 

私たちの日常生活を支える大切な職業であるバス運転士の処遇改善は、社会全体で考えるべき課題ではないでしょうか。

 

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