苦渋の選択—大型輸送車両が抱える路上停車の現実と課題
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全国の主要道路で見かける大型輸送車両の路上停車。これは単なるマナー違反ではなく、業界全体が直面している構造的問題の表れです。2025年4月28日に大阪市鶴見区で行われた一斉摘発は、氷山の一角に過ぎません。この現象は「スポット化」と呼ばれ、日本の物流システム全体に深刻な影響を及ぼしています。
運転者たちはなぜ違法と知りながら車両を道路に停めるのでしょうか?その背景には「ヨンサンマル休憩」と呼ばれる厳格な規制があります。4時間の連続運転後には30分の休息が義務付けられており、これを怠れば会社は行政処分の対象となります。車両に搭載された記録装置が全ての運行状況を監視しているため、規則を回避することは不可能なのです。
あなたはどこで大型車を休ませますか?高速道路会社は平成30年度から令和6年度までに4000台分の駐車枠を増設する計画ですが、稼働中の車両数に比べれば極めて不十分です。運転者たちは「労働法規を守るために交通法規に違反する」という矛盾した状況に日々直面しています。
この問題は、単に停車スペースが足りないという物理的な課題だけでなく、現場の実態と法規制の間にある溝を浮き彫りにしています。運転者が路上停車するのは遊興目的ではなく、規則に従った安全確保と業務継続のための苦肉の策なのです。私たちの生活を支える物流システムの持続可能性を考えるとき、この矛盾をどう解消すべきか、社会全体で考える必要があるのではないでしょうか。
