「物流魂」のブランド展開で知られるマルイチ(神奈川県厚木市)は、カゴ車などの輪留めに利用できる台車用ストッパー「キャスパー」を提供。まもなく、シリーズ第4世代となる新製品を発売する。

天然ゴムを使用し、日本製の高品質を貫く同シリーズは、すでに多くの物流現場に浸透している。シンプルな円形の「1st」に始まり、取手部分をつまむとリングが開き、片手でキャスターへの着脱が可能な「ピンチ・オープン機能」を搭載した「2nd」に進化。

その後、ツノ部分を押し当てるとリングが開き、キャスターに装着できる「3rd」を発売。兵頭一孝社長(写真左)は「初代は両膝、2ndは片膝を付く必要があったが、3rdは立ったままキャスターに蹴り込めば装着が可能」と説明。「物流の現場にも高齢者が増えた」とし、何度も膝の曲げ伸ばしをしなくて済む同製品の強みを強調する。

今回発売する「4th」は、いわばこれまでのシリーズの機能の「全部乗せ」(同社長)。3rdの「足で蹴り込めば装着できる」機能はそのままに、つまむことで開閉する「ピンチ・オープン機能」を付加。営業スタッフが物流現場で拾い上げてきた「つまむ機能も欲しい」という声に応えた形だ。

現在、ゴムの硬さについてメーカーと最終調整中。「しっかりハマる強度と、つまみで開閉できる軟らかさの加減が重要」とし、整い次第、年内の発売を目指している。量産体制を築くことで、「既存品より10円程度安くできる見込み」(同社長)だという。

今後「4th」はS、M、Lの3サイズを展開する予定。総務部の緑川祐哉氏(同右)によると「ここ数年で売り上げ個数は数倍になっている」という。

この理由を、兵頭社長は「社会全体で安全意識が高まってきた」と分析。「坂道に止まったトラックからカゴ台車が落下すれば一大事になる。こうした『万が一』を避けるために、費用をかけてでも『ひと手間』加える事業者が増えている」。

楽天をはじめとした一般向け販路にも注力していることもあり、同社の知名度も向上。同社長は、「『電車の中でキャリーケースを止めるのに使いたい』とわざわざ当社まで『キャスパー』を買いに来た老婦人には驚いた」と笑う。

類似製品も多くある中、「元祖」である同社は「MADE IN JAPAN」を貫く。「仕事で使う道具だからこそ、しっかりした『質』を提供したい」。最近は、「価格」だけで選ぶのではなく、先代の頃から続く、同社製品の「質」への考えに賛同するユーザーも増加しているという。

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