2024年問題への対応として、ドライバーの労働時間短縮に取り組んだ運送事業者も多い。しかし、そうした事業者の努力もどこ吹く風で、近畿圏内の運送会社では4月に5人のドライバーが「稼げない」として次々と退職してしまった。

 

辞めるドライバーに話を聞くと、「拘束時間を気にせず長距離運行も行えて、今と比べて給与も高い別の運送会社に転職したい」との意向で、配車担当者の引き留めもかなわなかった。

同社では1か月の残業時間を45時間以内とし、土日休みの完全週休2日制を導入。給与は今までより若干少なくなったものの、大幅なダウンにはなっていない。時給換算だと、人件費は逆に上がっている。

さらに、長距離輸送を一切やめたことで、ドライバーは毎日自宅に帰れるように。家族と過ごす時間が大幅に増える一方で、「稼ぎたい、もっと長く働きたい」というドライバーがいたのも事実だった。

とはいえ、いまさら以前のような長距離運行はできないため、短時間の業務を任せていたが、それを不服とするドライバーらが退職に至ったのだという。

 

「稼ぎ重視のドライバーも多い。当社もかつては長距離輸送を行い、人より稼ぎたいと断言するドライバーが多数いた」と話すのは、同じく近畿圏内の運送会社。

同社も昨年から長距離輸送をやめて中近距離輸送にシフト。継続して勤務するドライバーもいれば、1年が経過し、ほかの運送会社に転職したドライバーもいたという。

「長距離をやめたのは会社の判断。退職するドライバーが出たとしても、法律的に無理をした業務は長続きしない」とし、法を順守した現体制を貫く方針だ。