日本陸送協会60周年 北村会長インタビュー 「陸送はユニークな業界」

1965年に設立し、今年60周年を迎えた日本陸送協会。会長の北村竹朗氏(ゼロ・会長)は「陸送は物流のなかでもとてもユニークな業界」と評する。ものを運ぶ物流の中で、車のみを運び、トラックの機材も独特だ。
日本陸送協会は1965年、当時の運輸省の認可を受けて設立した。以来、自動車の製造と販売を結ぶパイプ役としてモータリゼーションと陸送業界の発展に貢献し、現在では、全国9支部695会員を有する団体として活動している。
陸送は車を運ぶ物流業だが、自動車業界の一員として位置付けられることから、日本陸送協会では日本政府による「物流革新に向けた政策パッケージ」を受けて、「陸送版2024年問題の取り組み」として行政や自動車業界へ要望をまとめている。
北村会長は「一番大変なのは乗務員。社内で現場と話す機会を作っているが、対面で話すと課題や困っていることがでてくる」とし、「コミュニケーションをとっていくと、荷主側へのお願いがでてくる」と振り返る。
また、「4月に施行される改正物流法は、我々の取り組みを後押しする法律」とし、協会として新車、中古車の流通のなかで乗務員の負荷を下げるため、商慣行の見直しを含めた整備をしている最中だ。
行政に対しては、積載車(単車)のオーバーハングや、高さ制限の緩和などの要望を出していく。さらに、回送標板(仮ナンバー)の取り付け簡素化・免除の拡大やETC専用化のサポートレーンへの進入の簡素化や料金処理の簡素化などを要望していく。
福島第一原発事故以降、義務化されている船積みの際に行う中古車の線量検査についても廃止を訴える。
また、日本陸送協会の長年の懸案である路上荷扱いの問題についても、販売会社ごとに納車先の店舗の集約や、業界をあげてハブヤードを作っていくことなど今後の自動車政策のなかに組み込んでもらう働きかけをしていく。
こうした課題の洗い出しを行いながらも同会長は「まだまだ自動車業界にお願いしたいことはたくさんある」と述べる。
働き手の確保についても、免許制度の複雑化により、免許を持たない若者も増えるなか、「子どもたちに一番売れている絵本は『はたらくくるま』」とし、「潜在的に好きな子はいるが、魅力ある職業としてどう伝えていくかが我々にとって大きな課題」と話す。
◎関連リンク→ 一般社団法人日本陸送協会