運送業に特化したM&Aを手掛けるLINK(東京都中央区)は、山本敬之社長がトラックのリース会社で営業マンとして培った経験を活かし、2021年に立ち上げた。「当社は、『再生』『承継』『継続』の3本柱で事業に取り組んでおり、M&Aだけでなく、内部承継や再生コンサルも提供している」と語る同社長に話を聞いた。

 

同社長がM&Aに取り組み始めたきっかけは、当時勤務していたリース会社で、後継者問題に悩む顧客の運送会社が増えているのを目の当たりにしたことから。「社内で事業部を立ち上げ、複数社のM&Aを成功させたが、運送会社さんの内部に根を張り、アンテナを立てないと見えないものがある」として独立を決意したという。

 

「M&Aにあたる前に『再生』が必要になることもある。運送会社はドライバーさんが起業したケースも多く、会計面でお手伝いが必要になることも少なくない」と切り出す同社長。「当社では、原価計算や運賃交渉など、さまざまなサポートも提供している。資料を確認し、『この車両はこのくらいの利益が必要』といった分析を車両・事業・荷主別に算出する。数値で示して説明し、実態を把握してもらう」という。「時には、採算が合わない長距離は撤退し、地場に切り替えるなど発着距離を短くすることも提案する」とも。「当社は営業のノウハウも持っているので、お力になれることも多いはず」と語る。

 

「これまでは、台数が少なくても、ドライバーさんが走ればなんとかやってこられた場合もあったが、拘束時間の規制が強まったいま、少ない車両数では粗利が出ず、維持できない会社も増えるのでは」と分析。「3割の荷物が運べなくなるという試算も耳にするが、あながち大げさではないかもしれない。これからさらに運送会社の統廃合が進んでいくだろう」。

 

M&A市場では、「営業所を新設するよりも、5〜10台規模の運送会社を買収するほうが、メリットが大きいと判断されるケースもあり、エリアや条件次第では中小企業も買い手がつきやすい可能性が大いにある」と指摘。「そういった場合でも、『これまでの取引先を継続してほしい』と希望されることが大半。ドライバーさんも慣れた仕事を手放さずに済む」と寄り添う。

 

また、同社では、M&Aや再生だけにとどまらず、運送業を始めたい経営者への起業支援コンサルも2年ほど前から開始しており、「お手伝いした会社は順調に経営されている」という。

 

「M&Aは文化と文化の融合」とし、統合の効果を最大化するPMI(Post Merger Integration)を重視している同社。山本社長は、「悩みごとも各社でそれぞれ異なる。当社はM&A支援機関協会や中小企業庁M&A支援機関に登録・加盟しており、安心して話だけでも聞かせていただければ」と呼びかけている。

 

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