大和物流(杉山克博社長、大阪市西区)は2021年ごろからバース予約システムの導入を進め、物流の効率化を図ってきた。現在では、Hacobu(佐々木太郎社長、東京都港区)のバース予約システムMOVO Berth(ムーボ・バース)を18拠点で導入しており、残りの拠点も順次導入予定だ。

同社がバース予約システムを導入するきっかけとなったのは、社内の業務改善のためだったという。業務推進部の向山直樹部長によると、導入前、「ある拠点でトラックの誘導や庫内との連絡のため1日50件以上の電話対応が必要なポジションが存在し、この作業が手間になっていた」と振り返り、原則1人で対応するこのポジションは人の出入りが激しかった。しかし、当初はバース予約システムが出始めたばかりで、「浸透していくか不安だった」と話す。

 

同社は460台以上のトラックを有するが、拠点に出入りするトラックは8割ほどが協力会社のものだという。自社のドライバーなら情報の伝達もしやすいが、他社のドライバーに使ってもらうというのは当時から課題だった。

また、スマホの操作に慣れていないドライバーも少なくなく、解決のために受付にできるだけシンプルに大きく使い方を表示し、何度でも読み返せるように要点をまとめた冊子を置いた。

「バース予約システムの効果は分かっていた。あとはいかにドライバーに使ってもらうか」という同部長。「電話がしんどい」というところから始まった業務改善だが、ドライバーファーストの対応が功を奏し、必要な拠点で同システムの導入が進んでいるという。

改正物流効率化法の一定規模以上の貨物保管量がある特定倉庫事業者に分類される同社は、今後、待機時間削減のKPIを設定し、目標達成に取り組んでいく。

その一環として、「拠点の軒先情報の公表」を今後行っていく。同部長は「地図アプリの自社センターのクチコミ欄を開くと、ドライバー同士の情報交換の場として使われていることがわかった」とし、「アプリや自社Webサイトに軒先情報の公開を決めた。現在すでに公開されている拠点もあり、順次増やしていく予定だ」という。

「ドライバーに優しいという大きな方針があり、その方針に則って取り組んでいく」と同部長は語った。

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