グローリーナスカ(中岡伸夫社長、東京都墨田区)は、トラック向けにシェア駐車場を提供するためのマッチングプラットフォーム「トメレル」を立ち上げた。

 

パチンコホールや商業施設などの平面駐車場を、トラックドライバー向けに開放。同社は駐車場の提供者であるパチンコ店らと、利用者である物流会社とをつなぐ役割を果たす。

具体的な用途としては、430の順守を意識した「休憩」、車中泊を伴う主に夜間の「休息」、荷積み・荷下ろし先周辺での「待機」、荷物積み替えのための「ドッキング」、長距離輸送の「中継」の5つを想定。

 

同社事業企画部の福井佳貴氏は、「ドライバーは駐車場を探す時間や手間がなくなり、確実に休息を取れるようになる」とし、「これらが省かれることで、運送コストや労働時間の削減にもつながる」と事業者のメリットも大きいことを訴える。

これまで2年半にわたり、運送事業者の協力のもとで同サービスの社会実験を実施してきた。久留米運送(福岡県久留米市)は、東京〜大阪間の6系統で、東名高速「袋井IC」至近の店舗をドライバー交代拠点として活用。「ドライバーの皆さんにはホールの休憩コーナーや自販機を自由にお使いいただき、交代だけでなく休憩もできるようにした。結果として、中継拠点としての利便性が高いという評価をいただいた」(福井氏)。

 

青森県の運送事業者は、仙台新港エリアの店舗を活用して平日の毎日、車中泊を行っている。同氏は、「コンビニの駐車場が取り合いになっていて、止めるところがすぐに見つからない」とし、「毎日予約してもらうことで、確実に休息ができる。ドライバーからの評価も高い」と説明する。

 

熊本県の運送事業者は、神戸の店舗を日中の待機・休憩に活用。「これまではわざわざSAやPAで待機していたが、その分の高速代や燃料代、さらには移動の時間がかからなくなり、コスト削減につながっている」。

 

また、JL連合会(迫慎二会長)も「トメレル」の社会実験に参加。物流ネットワーク北九州協同組合のアイエヌライン(福岡県築上郡吉富町)も同サービスを利用している。

 

これらの実証結果を踏まえ、同氏は「休憩場所が確保されることで、1運行あたりの労働時間が確定する」とし、さらに「確実に休憩できることはドライバーの安心感につながり、従業員エンゲージメントも向上。休憩の質が上がり、業務効率がアップする」と強調する。

 

本格的な展開はまだ先の予定だが、現状、全国約90店舗が駐車場として利用可能。同氏は、「ホール側の負担は営業中のトイレの貸し出しやパイロンの設置程度で、そこまで大きくない。社会課題解決への貢献や、遊休地の活用による収益確保などを訴求し、今後も店舗数を増やしていきたい」と意気込む。利用時間帯や曜日、駐車できる車格などは店舗ごとに協議して決めているという。

 

運送事業者が支払う駐車料金も、時間帯や利用時間、車種などによって異なる。「今後は、Webでの予約システムも検討している」という。

 

福井氏は、「当初は夜の利用希望が多いのではないかと考えていたが、昼間のニーズもかなりある」と分析。「取り組みを始めた2年前、どこで休憩するかはドライバー任せが一般的だったのが、現在は会社が『お金を出してでも確実に駐車させたい』と変わってきているのを感じる」とし、「コンビニなどのように不特定多数の車両が出入りするのではなく、登録された車両がお金を払って止めるので、ルールが守られる。確保された場所で安全に待機できると、無駄な走りもなくなり、ドライバーにとっても会社にとっても良いはず。CO2削減も実現する」と話す。