高速道路の駐車マス問題 需要に供給が追いつかず

ネクスコ東日本、中日本、西日本の3社は大型車駐車マスの拡充を図っているが、まだ需要と供給が釣り合っていない。昨年、時間外労働の制限がされた運送業界では、高速道路を利用せざるを得ない現状。特に、深夜割引が適用される夜間帯は車両が集中する。駐車マス難民問題は周知の事実だ。
3月19日深夜0時、岡崎SAの駐車場を現地取材した。翌日が旗日であったものの、駐車スペースにはトラックが溢れかえっていた。上り線では40台以上のトラックが大型駐車マス以外に駐車しており、その多くは、一方通行の通路上や駐車禁止の枠線、SAへの進入路の路肩など。なかには、乗用車スペース4台分を使っての駐車やバス専用の駐車スペースを利用する車もあり、圧倒的にマスが足りていない実態があった。特に苦戦するのは、ダブル連結トラックや低床トレーラなどの特車。車体が大きい分、規定の駐車マスに止めるのが困難。そのためか、特車は駐車スペースではなく、枠線がない通路に止める傾向があった。
食事をしていたドライバーに話を聞いたところ「明日が休日だから、今日は混んでいないほうで、比較的スムーズに止められた。普段はもっと数が多い」とコメントする。
乗用車スペースに止めている両隣りのトラック同士の隙間は60cm程度しかない場合もあり、大人1人がやっと通れるぐらい。SAは照明があるとはいえ、日中と比較すると深夜は暗く、周りが見づらい。細心の注意を払っての運転が求められる。
都心に近いほど混雑
「高速道路における大型車長時間駐車対策に関する調査研究委員会」が2024年に公表した報告書によると、全国の大型車の高速道路利用台数は、2005年から2020年まで、約15万台増加(17%増)しているという。
また、東京や大阪、名古屋といった主要都市に近いSA・PAほど、夜間帯を中心に混雑し、駐車マス不足、また8時間以上の長時間駐車の割合が高くなり、東名・新東名高速道路の平日において「夜間時間帯を中心に、どのSA・PAも混雑し、ドライバーに確実な休憩・休息機会を与えられていない可能性がある」と指摘する。
「430」順守で損
連続運転4時間につき30分以上の休憩を与えなければならない「430」。例外として、SA・PAの混雑時には連続運転時間を30分まで延長可能となったが、事業者が頭を抱えることに変わりない。
愛知県で夜間帯の高速道路を利用する運送会社は10年以上前から駐車スペースは足りていなかったと指摘する。同社では運行スケジュールを計画する際、人気がないPAでの休憩を設け、時間も前倒しに設定。そのため、荷下ろし場所から遠く離れたエリアに駐車することになり、ドライバーは朝早くから運転を再開するという。駐車場所が確保できない場合は、インターを降りて、コンビニや路駐で休憩することになるが、無論、経費もかさむ。
また狭い駐車マスは「ぶつかった・ぶつけられた」という物損事故も珍しくない。同社の管理者は「24年問題など制度を変える前に、休憩場所の整備をしてほしかった。『お上』は現状を知らないまま法整備しているのでは」と苦言を呈す。