ラキール(東京都港区)は、動画配信型教育サービス「LaKeel Online Media Service」を提供している。労働安全衛生対策や、労災の危険が高い作業の注意点など、約2〜3分のアニメーション動画を600本以上も用意している。

 

「当初は食品安全の動画からスタートしたが、いまではそれ以外の動画も400本以上。ユーザーからの要望を聞き、増やしている」と切り出すのは、動画制作担当の源竜弥氏。フォークリフト関連だけで30本ほど制作しており、クイズ形式やKYT危険予知トレーニングができるものなど、内容は多岐にわたる。

 

動画は現場の写真やマニュアルを基に作られるが、同氏が現場へ足を運ぶこともあるという。「実際に現場を見て、そこで働く皆さんへの取材を通して、分かりやすいと思っていただける伝え方だったり、納得いただけるような表現を心がけている」

動画は一覧表示され、ユーザーはそのすべてを閲覧できるが、「600本のなかから自社に適したものを選ぶのは難しいため、『研修ガイドブック』を作成しており、利用シーンに合わせて選択していただける」と説明する。

 

物流業界では、「研修時に流す動画としての活用が多く、『こういうときはこうしたらいいよ』などと参加者同士での会話や情報・ノウハウ共有のきっかけになっている」といった効果も。倉庫業では、「巡回中に、その場面に合わせた動画を作業者に見せるといった使い方もされている」とも。

 

導入している運送会社からは、「トラックの乗り降りの仕方」や「テールゲートリフターの法改正」などのリクエストがあり、制作したという。「テールゲートリフターの教育だと、どの教材でも『リフトに乗りながら作動させてはいけない』と書かれている。適法かつ、安全面と効率に配慮した方法として、当社の動画ではリフトを途中で止め、階段状にすることを提案している」と、現場を知る同氏ならではの意見も反映されている。

 

また、「異業種からドライバー職に転職してきた新人に、動画で教育を行ったユーザーの事例では、『ベテランより新人の事故率が低くなった』ケースもあった」と明かす。

 

「安全は共有」という合言葉を掲げている同サービス。責任者の向井一雄事業部長は、「動画を他の企業にも共有することを了承いただければ、無償でリクエスト動画を制作している」という。

 

また、「背景を物流現場に変えてほしい」「フォークやトラックを◯社製のものに変えてほしい」といったカスタマイズも、共有前提であれば無料。「安全ノウハウが共有されて、ユーザー各社で少しでも事故が減少すれば」と目を細める。

 

「『教育』は誰でもできると思いがちで、自分もそう思っていたが、自分の経験値で判断できる『大人』に教育することは、とても難しい」と指摘する源氏。「当社の動画は、『大人』にどのように伝えればいいか、わかりやすいかを追求した。実写ではなく、アニメーションやイラストにしたのも、あえて情報量を絞るため」と話す。

 

向井事業部長も、「ベテランが実践している隠れたノウハウは、まだまだあるはず。動画によって多くの人に共有され、事故を防ぐ手立てになれば」と強調した。

 

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